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こども

幼い頃の行いを今になって後悔した。

俺達が子供だった時、沼の噂が赤塚の街で広まっていた。噂の内容は、町外れの林にある沼には人魚がいるらしい、というものだった。今となれば、沼に人魚がいるわけないって思えるけれど、当時の俺たちはまだ子供でよくも悪くも好奇心が強かった。
大人達が、ひそひそと囁きあっているのに興味を示し、人魚を見に行ってみよう!!と言うことになったのだ。
林までの道のりをかけっこで競ってゲラゲラと笑いながら街を駆け抜けた。
大人達はいつもの事だと、苦笑いしながら気をつけろよーって声をかけてくれていた。

林につくと、そこは黄色いテープで封鎖されていた。少し離れたところには数人の大人の黒い影がうろうろと動き回っているのが見えた。
これは、面白そうだぞとみんなで肩を近づけて声を抑えて笑った。
大人に見つからぬようにこそこそと近づきテープを潜って林の中へと入った。
背の高い木は葉を青々と茂らせ陽の光を遮っていて、葉の隙間から僅かばかりの光が覗いていた。そのためか、まだ日の高い昼間だというのに奥へ進むにつれ鬱蒼と暗くじめじめとしてきてひんやりとした風が流れてきた。
後ろを振り向けば、光はもう随分と遠いところに見えていた。
みんなの顔を見渡せば、少し怖気付いているようだったので手を繋ごうと提案をした。
次々と賛成の声が上がり、手を繋いで歩いていくことになった。

沼についたのは、それから大体半刻ほどだったと思う。あっちへこっちへと歩き回りやっとこさついた沼は意外と大きく、俺達が手を繋いで円を作った時の何倍も大きかった。
予想以上の大きさに心を踊らせ歓声を上げ、喜びあった。
ひとしきり喜びあったあと、本来の目的である人魚を見ることを思い出し沼を探索することになった。
ひとりひとりが別々のところを探し絶対見てやるぞと躍起になっていた時、沼の方からなにかが落ちる音がした。
もしや人魚か!と音のした方に走って向かえば、そこにはおそ松がいた。
おそ松は胸元まで沼に浸かり泥だらけになっていた。大方、足を滑らして落ちてしまったんだろう?と揶揄いつつ俺はおそ松にてを差し出した。
おそ松も、苦笑いしながら俺の手を掴み沼から出ようとした。
何時の間にか、他のみんなも集まっておりおそ松の有様を見て笑っていたが、おそ松の体がさらに沈みこんでいくのを見て青ざめていく。
手にかかる重さに驚きつつも引き摺りあげようと力を込めるが上手く力が入らず引き摺り上げることができない。
おそ松は、半泣きになりながら、足が引っ張られていると叫んでいた。
頭の中を、沼にいるという人魚のことがよぎる。
まさかとは思いながらも、手を離してはいけないとしっかりと手を掴み直す。
他のみんなもおそ松を助けようと駆け寄ってくる。一松と十四松がおそ松のもう片方の手を引っ張り、トド松が俺の掴んでいる方に来て手伝ってくれる。
チョロ松は、外にいた大人達を呼んでくると走っていった。

おそ松が沼から出れたのはそれから少しあとのことだった。
おそ松の足を掴んでいたものは大人が来ると、どこかへ行ってしまったようでおそ松を引き上げることが出来たのだ。
助かったことに安堵し糸が切れたようにみんなで大泣きをした。
両親に雷を落とされた俺たちは仲良く頭にたんこぶを作り皆で仲良く眠ったのだ。

それが十年前のこと。

いつものように、過ごしていた俺たちは2階から聞こえた悲鳴に驚き階段を駆け上った。
2階には、寝ていたおそ松兄さんが一人いたはずだと、何が起きたのかと思いつつ襖を開けた。
おそ松兄さんは布団の上に足を伸ばして座っており、しくしくと泣いていた。
泣いていることにも驚いたが、それ以上におそ松兄さんの足首を見て誰もが目を疑った。

くっきりと残る真っ赤な手のあと。

まるで、誰かに強い力で握られたように残るそれに冷や汗が流れる。
おそ松兄さんが、か細く、小さな声で言った。

「足が動かないんだ」

それは、最悪な知らせだった。
皆、暗い表情をしていた。中には釣られて泣く者もいた。

何故か、沼の噂を思い出す。確かあの沼の噂には続きがあったんだ。

町外れの林の沼には人魚がいるらしい。

その人魚は大層な子供好きで、気に入った子は沼に引きずり込んで食ってしまうらしい。

だけど

食えなかった子供には人魚の呪いがかけられるらしい。


なにかが落ちる音が聞こえた。

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