ジャンル:カルジュナ お題:ラストは神話 制限時間:30分 読者:141 人 文字数:1843字 お気に入り:0人

【カルジュナ】洋裁専攻xモデル志望10

「行きたまえ。どのみちコンペティションが終わらなければ君たちの身の振り方も決まるまい。マリー、君に課した先日のショーの体感レポートがまだ未提出だ。提出日は四日後だが余裕を持つように」
「失礼しました、教授。翌朝には必ず」
「ナイチンゲール、衛生観念から鑑みる防護服の最新論文が届いている、図書室で受け取っておきなさい」
「ありがとうございます」
「アルジュナ、君には特に言うことはないが、先日参加してきたショーの写真が刷り上がっている。広報課がじきに訪ねてくるだろう」
「はい」

アルジュナは孔明の言葉に頷き、自分が着た服のことを思い出す。最新のショーであれば、春夏コレクションだっただろう。翌年はグレーを混ぜたパステルカラーが組み込まれているところが多いが、それとは別に目の覚めるようなブルーが流行色に指定された。花の都の一等地で指定される「流行色」がこうして海を越えて異国で共有されるというのは、些か不思議な心持ちになる。
特にアルジュナが着た服は縦プリーツが幾重にも編み込まれたターコイズブルーのシャツと、タイトなシルエットが美しいオフホワイトのパンツだった。色彩としてはありふれたパターンだが、アルジュナがそれを着て歩くということは、服の意味を形作ることだ。
誰かが込めた意志を汲み取って、自分の中で増幅させる。攪拌させ、反響させ、最も効果的なアピールをする。それが、アルジュナの、モデルとして歩く上で自分に課していることだ。

それでは、と三人が退室し、残るは下校のみということで解散をする。
アルジュナは二人を呼び止めるかどうか、僅かながら逡巡した。アルジュナが専門学校で出会った人物の話をするべきか否か。マリーやナイチンゲールならばまた違う視点から話を受け止めるだろう、ということはアルジュナにも理解できていた。だが、とアルジュナは自分の考えに没入しながら帰路を急ぐ。
見上げた星空の向こうがあるとは、どうしたって思えなかった。

さて、マリーやナイチンゲールとはそもそもの専攻科目が違う。マリーもナイチンゲールも制作側であるため、実習時間が多くなる。勿論、アルジュナのクラスでもウォーキング練習は常に行われているが、実習時間をどう組み込むかというのは座学のスケジュールに左右されている。

次の日も、アルジュナは一人で校内を歩いていた。
更に言うなれば、アルジュナは昼休みを利用していまから孔明の授業に使う資料を図書館へ借りに行こうと思っていたところだった。アルジュナの背後から、唐突に投げられた声。

「そなたがアルジュナか!」

えぇ、とできる限り穏やかな声を心掛けながらアルジュナは振り向いた。声には聞き覚えがあった。しかしここは短大。そこに現れた赤き皇帝は、記憶の中よりも随分と落ち着いた服を着ている。といっても、スカートがスケルトンでなくなっているくらいなのだが。
ネロは腕組みをしながら、ここが他校である、ということもおくびに出さずアルジュナの前で仁王立ちをしていた。その堂々たる姿勢に、思わず称賛の言葉を送りたくなる。


「何か私に御用が?」

「うむ。カルナが探し求めたトルソーの君が見つかったとの情報を得てな。なんとも噂は尾びれに背びれ。このまなこで確かめねば」

カルナ、カルナ。皆がこぞってアルジュナの背に密やかな声をぶつけているのを知っていた。が、ここまで面と向かって言われてしまうと否定すら許されず、アルジュナは曖昧に微笑んだ。

「余すらモデルとして不十分だと袖にしたカルナがな、男に着せるとあって黙ってはおれん。何しろ、あやつがコンペを通れば余が手を貸すと約束してしまったのだ」

「それは、御愁傷様です……?」

かくりと首をかしげるアルジュナに、むっとネロの唇が尖った。

「そもそもお主、余のことをちっとも分かっておらんだろう。これだから俗世の者はいかん! マリッジブルーというやつでもな、これは由々しき事態であるぞ!」
「……結婚しません」
「ふむ。では、言葉のあやとして受け取っておけ」

畏まりました、とアルジュナは目の前の皇帝に対して、どう言葉を選べば良いのか分からず曖昧な返答をした。しかしアルジュナの対応はどうやらネロの及第点をつけられたようだ。

「我が名はネロ! 学生の中でも抜きんでた存在感と、モデルまでを自分でこなしてしまうこの才能! 真紅の絨毯を歩く余を人はこう呼ぶ、夢薔薇の皇帝、ネロ・クラウディウスと!」

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


見つかりませんでした。

梟光司の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:やば、宇宙 制限時間:15分 読者:58 人 文字数:1427字 お気に入り:0人
ゲリラライブも大盛況のうちに終了。メンバーのテンションも(主にアストルフォが)上がり調子。マネージャーが頭を抱えていても気にしない。何故なら皆、インディーズの苦 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:やば、解散 制限時間:15分 読者:56 人 文字数:1498字 お気に入り:0人
どうしたのさ、マスター。ん、怖い話だって?へぇ、後輩と一緒に百怪談ねぇ。そういうのが君の故郷にはあるの?じゃあゴーストを仕留めに行った話とか?え?そういうのじゃ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:早すぎた失踪 制限時間:15分 読者:81 人 文字数:1828字 お気に入り:0人
『すまない、分かってしまったんだが』 ジークがそう言うと、みんなが一斉にジークを見ました。それこそ、新体操なら満点が出るくらいに。小次郎はジークの肩をぐいっと掴 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:今日の妹 制限時間:30分 読者:48 人 文字数:1683字 お気に入り:0人
アルジュナは頭の良い子供だった。カルナが見知ってきた、どんな子供よりも。しかし、アルジュナは子供だからこそ、その言葉の重大さに気付いていなかったともいえる。例え 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:春のエデン 制限時間:15分 読者:55 人 文字数:1821字 お気に入り:0人
「あぁ」 声が思ったよりも近い。アルジュナがそう思って振り向くと、十五センチメートルの定規よりも近い場所にカルナの瞳がある。咄嗟に後退ろうと足を引くが、実習机に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:重い顔 制限時間:30分 読者:85 人 文字数:1686字 お気に入り:0人
ひときわ大きなガラス窓の前で降りしきる雪を眺めているアルジュナの横顔は、まるでそこが世界の終わりのように静かだった。カルデアでは、電力を魔力として代用している。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:静かなお天気雨 制限時間:15分 読者:81 人 文字数:1151字 お気に入り:1人
思えば、こんなレイシフト場面は今までにも少なくなかった。天候は雷雨。視界は不良。足場は崩れやすく、敵は魔獣たち。しかし今回はどうにも運が悪かったと言わざるをえな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:コーヒーと料理 制限時間:15分 読者:118 人 文字数:1561字 お気に入り:0人
それは風のように、または嵐のようにカルデア内を駆け巡る。或る者は一笑に伏し、或る者は首を傾げた。果てはまたも登場人物の少女が言う。『彼を最も愛する人が、彼の一 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:遠いふわふわ 制限時間:30分 読者:79 人 文字数:3315字 お気に入り:0人
放課後、三人は短大の本棟入り口で、ネロの言う「迎え」を待っていた。孔明もアルジュナから声をかけたのだが「忙しい」とけんもほろろに突っ返された。確かに孔明はアルジ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:ナウい映画 制限時間:15分 読者:131 人 文字数:1477字 お気に入り:0人
私とカルナはアジトにしている隠れ家たちを闇夜に紛れて襲撃し、その都度に部下を開放して回った。皆、ある程度は人権を守られていたようで、私は密やかに安堵の溜め息を 〈続きを読む〉