ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:東京の恋愛 制限時間:30分 読者:190 人 文字数:2914字 お気に入り:0人

不純は校則違反



【レスバス】

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 都内に越してきたばかりで、カラ松には友人と呼べるような同級生がいなかった。かといって教室で孤独かというと、そういうわけでもなかった。カラ松は常より言動が浮いている少年であったし、何より、転校生というミステリアスなステータスを気に入っていた。何度も天候を繰り返しては、同い年の少年少女からしげしげと見つめられるうち、自分は特別な存在なのだと思うようになり、親しい友人ができなくとも苦ではなかった。何しろ、カラ松は奇特な少年ではあったが、けしてとっつきにくいとか、話しかけにくいとかいった少年ではなく、人懐こい笑顔を誰にでも向けるので、時折興味本位で近づいてくる同級生がいた。彼らも、しばらくカラ松と接すると、なんだかヘンなやつだなとわかって離れていくが、当人であるカラ松が特段の気まずさを感じていなかったので、問題はなかった。
 住居を転々としているカラ松であっても、今回ほど人が多い都会に来るのは初めてのことだった。兄のおそ松は公務員で職には困らなかった。どこへ行ったとしても、おそ松は仕事で家を空けることが多かった。レスキュー隊員の中でも若手の彼は、何かと駆り出されたし、夜勤が多かった。週の大半、カラ松は一人で夕飯を食べたし、一人で布団に入った。夜中になって、兄が潜り込んでくるのが日常だった。
 おそ松のたまの休日があると、その前夜に、彼らは必ずセックスをした。中学生のカラ松は、兄弟でこんなことをするのはきっとおかしいことだとわかっていたが、長年続けてきたものなので、家族愛のあるスキンシップのあるようなもので、拒否できなかった。こんなことはおかしい、とやんわりとはねのけたところで、おそ松に「いやなの?」と聞かれると断れなかった。いやなわけでは決してなかった。

     ◇

 授業参観のプリントを前に、カラ松は悩んでいた。今まで、おそ松の仕事を思って無理に言い募ることはなかったが、中学三年の秋であった。おそらくこれが最後の授業参観だろうと思うと、今までのように丸めてゴミ箱に捨てるのには惜しかった。
 その日もおそ松は、真夜中にカラ松の布団に潜り込んできた。風呂上がりすぐの大きな身体は温かく、カラ松は喜んで兄を迎え入れた。本当は、おそ松用の布団も一式あるが、ほとんど見かけたことがなかった。カラ松が熱を出したときなどに、部屋を分けて寝るために使われる布団となっていた。
 眠る直前まで、授業参観のことを思い悩んでいたカラ松は、浅い眠りであったので、おそ松の侵入ではっきり覚醒してしまった。おそ松は猫のように身を丸めて、自分よりも半分くらい小さな身体のカラ松の、腕の中に収まろうと身体を押し付けてくる。こうされると、カラ松はいつも、大きな野獣を飼っているような気持ちになった。おそ松はたまに獰猛なので、虎とかライオンとか、動物に例えるのならばネコ科の大型動物だろうと考えるのだった。
「おそ松、おそ松。」期待を込めて、カラ松は小声で兄の名を呼んだ。
「なに。」もう寝ようという声だった。
「あの……今度の木曜日、授業参観がある。」
 途端、おそ松はがばりと起き上がった。
「授業参観っ? 初めてじゃん!」
 彼は目を丸くしたが、カラ松も驚いた。今まで、通知のプリントを見せずに捨てていたので、おそ松は授業参観があったことを知らなかったのだ。妙に敏い兄であったので、もしかすれば気づいているのかも、とカラ松は思っていたが、杞憂だった。
「行くよ、行く、絶対、休みとるよ。」
 おそ松があまりに浮かれるので、カラ松は申し訳なくなった。今までも、もっと明け透けに甘えるべきだったのかと悔いた。しかし、おそ松の仕事に融通が効かぬのもよくわかっていたので、こうして快諾されてから、やっぱり無理となって落ち込むのはいやだった。しかし、今回は初めて伝えたこともあり、カラ松もつられて心が浮上した。
「お前、格好つけて、ヘンなことしないでよ。お兄ちゃんの肋を折らないでよ。」
「おそ松が来るなら、いつも以上に勇姿を見せるぜ。」
「あ〜、すでに肋が半分くらいイったわあ。」
 おそ松が眠たげにふふふと笑うのを、カラ松は首を傾げながら、同じように笑った。布団から跳ね返ってくる自分の吐息が優しかった。それから、おそ松はカラ松をぎゅっと抱き込んで眠った。カラ松に身を寄せる猫のようではなく、今日のそれは年の離れた兄らしい眠り方だった。

     ◇

「都会の学校ってやっばいね、さっき廊下でチューしてたよ。」
「えっ。」
「二組いたよ。」
「えっ!」
 おそ松の報告に、カラ松は真っ赤になった。そんな光景は、この学校に来てから見たことがなかった。
 授業参観は、移動教室も含まれ、彼らは揃って理科室へ向かっている。親子で移動する人たちもいれば、ばらばらに移動する子どもたちもいた。移動するときに、おそ松がカラ松に歩み寄ったので、彼らは二人並んで廊下を歩いた。
「トイレ行きたい、寄っていい?」おそ松が申し訳無さそうに言う。
「遅刻するだろ。俺は先に行く。」
「え〜理科室どこかわかんないよ、俺。」
 すぐ済むからさ、というおそ松に、カラ松は嘆息しつつ付き添ってやった。
 おそ松は、先程まで教室で行われていた授業で、カラ松が隣の席の生徒と談笑していたことが、ずっと頭に引っかかっていた。学校でのカラ松を見るのは初めてだった。弟に当然学生生活があるのはわかっているつもりだったが、実際目にすると、あらゆる懸念が生じた。夜な夜な小さな弟の身体を抱き込んだり、自分の身体を擦り付けたりして、キスして、入れて、出して、好き勝手している身としては、カラ松は年相応の青春をしていることは怖かった。

    ◇

「ねえ、怒んなよ〜、間に合ったじゃん。」
「間に合ってない!」
 遅刻して理科室へ入った彼らは小声でやり取りした。カラ松がしっしっとおそ松を追いやる。おそ松は他の保護者と同じように、教室の後ろの方へ退散した。カラ松は首から耳から真っ赤にして、まだ息荒く肩を上下させていた。
 トイレから走ってきたというのもあるが、個室で行った不埒な行為のせいもあった。弟の学校で致す背徳感に、おそ松はしばらく酔いしれた。それから、カラ松が同じ実験グループの生徒に話しかけられ、しどろもどろに受け答えをするのを、気分良く眺めた。どうせなら、学ランから除く首筋に、くっきりと歯型を残してやってもよかったなと思った。
 理科室への道すがら、走りながら、涙目で「もうあのトイレ使えない。」と言ったカラ松をおそ松は思い出した。彼らは時折野外ですることもあったが、学舎でするのは当然初めてだった。最後の授業参観なのが惜しい、高校にもないのかなあ、とおそ松はぼんやり考えた。今まで捨てられた数々のプリントについては知らぬまま。(おしまい)




※東京の恋愛:学内でのチューとか

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