ジャンル:テニスの王子様 お題:12月の税理士 必須要素:スケベ人間 制限時間:1時間 読者:148 人 文字数:2621字 お気に入り:0人

雪の話

【冬の日に君と僕は】

U-17強化合宿に招待された氷帝学園中等部三年、忍足侑士は手伝いとして招集された中等部二年の
アディシア・スクアーロを探していた。

「忍足先輩。滝さんが跡部部長に書類を見てくれって。送ってきた」

見つけたと想ったら彼女は滝萩之介から書類を受け取っていたらしい。郵送では無く、
タブレットPCだ。滝は男子テニス部の会計でもある。

「俺が渡しとく。ってか、跡部にそのまんま送っても」

「忙しいもん。跡部部長……用事?」

「外、雪が降ってきとるで。お前、前に話取ったけど雪が苦手やったやろ。警告しとこう想てな」

雪、とアディシアが窓際に行き、外を確認した。
夜であるが、大量の雪が空から降ってきていて、積もりそうな雪だ。

「大人しくしているんだよ。雪は苦手」

「書類は俺が渡しとく。お前は……大人しくしとった方がええか」

「お願い。……調子が狂うんだよね」

タブレットPCが渡される。アディシアが帰ったのを忍足は見送ってから、タブレットPCを
跡部に渡しに行くことにする。歩きながら忍足はタブレットPCを起動させて、
滝が送ってきた書類を確認すると予算についてだった。

『テニス部って予算が使いたい放題だと想っていたのですが』

(それはあるけど書類は大事やろう)

忍足にしか聞こえない声がする。
幽霊、電車事故で死にかけた忍足を助けた外見二十代の神父服の青年だ。

『税理士さんに丸投げとかするんですか。そちらも』

(滝が計算して、上に回してやけど、十二月とか忙しそうやな。スペシャリスト)

税金計算なんて忍足は親がやっているのを見たことしかないが、申告は面倒そうだ。
しかしちゃんとやっておかなければ後々に響くらしい。
忍足は跡部が大ざっぱに書類を採択しないようにと願いながら、彼を探した。



次の日の朝、アディシアはパジャマにスリッパと言った様子で合宿施設を歩いていた。
顔色は悪い。
風邪ではない。精神的なものだ。
雪は、非常に多く降った。
念のために数日間こもれるぐらいの食料やら除雪の道具やらを揃えたお陰で過ごせるらしい。
練習も室内練習場があるので問題はないものの、雪対策に選手達やスタッフが駆り出されるそうだ。

「どこ……忍足先輩……他の誰でもいいから」

寝ていれば良かったのに友人である財前光からの情報を聞いたのが悪かった。
このままだと危険なことになる。
ふらふらしていたら階段があることに気がつかず、アディシアは降りようとしてそのまま転けるようにして落ちた。




「アディちゃんが階段から!」

「どうしたのよ!?」

「越知君。ナイスキャッチです」

毛利寿三郎は階段で聖ルドルフ学院一年である君島玲愛とその従兄でありU-17、Genius10の
7番目、君島育斗と自身のダブルスパートナーであり元氷帝学園テニス部部長である越知月光と話していた。
雪についてを会話していたら、そのままアディシアが階段から落ちそうになっていたのだ。
支えたのは月光だ。月光はアディシアを家にホームステイさせている。

「……月光兄(つきにい)?」

「どうした」

「かまくら……」

「……かまくら?」

アディシアの言葉が辿々しい。

「財前から、連絡が来て、赤也がかまくらを作るとか言ってたけど、かまくらって、作り方間違えると……」

「かまくらって雪を積んで、穴を掘るだけじゃ」

「寿三郎。その工程を間違えると……間違えそうな様子なのですね」

外で遊んでいるメンバーも居るだろうが、かまくら作りをしようとしていても、失敗しそうな者たちも居る。
と言うかそちらの方が大多数のようだ。

「事故、避けたいけど……おしたりせんぱい居ないし……」

「忍足さんはこっちも見てないけど、動け……なさそう?」

「Non voglio essere mal stimolato dal movimento」(動いて下手に刺激を受けたくない)

玲愛の方が異国語を聞いて何度か頷いている。

「Farò un tentativo. Faresti meglio a andare a letto. È un peccato distruggere questo quartiere」
(探しておくわ。貴方は寝てた方が良いわね。この辺りが壊滅なんてして欲しくはないし)

「何語、玲愛ちゃんもアディちゃんも」

「イタリア語。忍足さんに連絡……」

玲愛は多機能情報端末を取り出して連絡を取ろうとする。合宿所の敷地は案外広いので探すのが一苦労なのだ。

「そのまま探しましょう。玲愛。越知君、寿三郎、彼女を戻して」

「解っている」

「育斗さん、解りましたっ」

君島従兄妹と別れ、月光が調子が悪そうな彼女を横抱きにして運んでいく。
着ているのはパジャマで上着を引っかけているだけだが、寒そうだ。

(ちまこい……)

毛利も越知も身長が高いのか、そうみえてしまう。

「Temo la neve……」

「え、と……」

イタリア語の意味を毛利は理解が出来ないが、聞いた越知がそっと彼女の額に手を当てる。

「心配するな」

アディシアが頷くと、寝息を立て出す。
毛利は自分が着ているジャージを彼女にかけた。

「誰かに見られるとこうあぶなそうな」

「寝かせておく、自分が危ないから、寝たのだろうが」

意識的なオフをしたらしい。運べるところまでは運ぼうと月光がしていたので毛利はソレに着いていく。

「月光さんは優しいから」

アディシアがそっと月光の服を掴んでくる。月光はそのままにしておくと彼女を寝かせに行った。



「調子は」

「意識的に意識を落としたけどしばらくはあのままになってるみたい」

「……ついとったほうがよかったか。何かあったら……」

玲愛から報告を聞いた忍足はため息をつきそうになる。

「何かって忍足先輩。越知先輩がきっと着くでしょうからそこまで心配しなくても」

「せやな」

「それに忍足先輩はアディちゃんを珍獣扱いするのは良くないです」

「……心に留めとく」

互いにそんな扱いをしても仕方が無いとかしょうがないとかになるのだが、それは止めた方が良いのだと
鳳長太郎に言われる度に想う。
感覚は麻痺させてはいけないのだ。


【Fin】

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