ジャンル:テンミリオン お題:免れたカリスマ 制限時間:15分 読者:77 人 文字数:340字 お気に入り:0人

礼拝堂の塑像 ※未完



出ていくことは本意でなかった。ここに置いてもらった恩義を忘れるつもりはない。何より、妹を捨てていくような形になるのが歯痒い。

テミの容貌は特別だった。二人膝を揃えて祈りを捧げていた薄暗がりで、聖典に書かれた聖女の挿絵を描き写したことがある。そのとき自分は、妹の目鼻立ちと、挿絵の聖女とを織り混ぜて写した。描きあがった紙切れ一枚を、聖母様みたいだと評した柔らかな声を覚えている。気がつけば、ほとんどを彼女に似せて描いていたのだが、それに妹は気がついていたのだろうか。

初めて祭壇に立った時の感覚は、眩暈だった。清浄な祈りを求めて訪れた、恐らくは善良な人々。彼らの顔がみな、作りの荒い石膏像のように同一に見えたのが原因だった。
その時に初めて、俺はここに立てない、と自覚した。

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礼拝堂の塑像 ※未完
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