ジャンル:テンミリオン お題:小説の警察官 制限時間:15分 読者:61 人 文字数:840字 お気に入り:0人

小説警察の目的

「ピピー! 小説警察だ! お前の小説を検閲する!」
 突然ブロントが部屋に押しかけてきた。私はちょうど趣味の小説を書いているところだったので、咄嗟に隠そうとしたが、うん? 小説警察?
「なんだそれ」
「文字通り小説警察だ。お前の小説を検閲する」
「さっきも聞いたけどそれ」
「あーつまりだな。小説読ませて♪」
「だめ」
「マーゼーンーダーさぁん」
「読ませるわけないでしょ」
「マゼンダ先生! よっ未来の芥ミリ賞!」
「そ、そこまで言うなら良いけど……」
「ちょろいなお前!」
 ということで書きかけの小説を読ませることになった。なぜこんなことに……。
「えーなになに。時は戦国」
「声に出して読むな。ていうかそんな内容じゃないでしょ」
「あ、推理物か」
「そうだよ」
「ふむふむ……」
 目の前で黙して原稿を読んでいく。意外と静かに読み込み始めて、少し焦った。
「あの、まだ初稿だからなんというか」
「いま読んでるからちょっと静かにプリーズな」
「はい……」
 じっくり読まれるほどきちんと書けているつもりはないし、でも何か言われたら怖いし、体中がもずもずとする。小説を他人に、しかも目の前で読まれた経験はほとんどなかった。ブロントの目の動きが気になって仕方ないのに、目を合わせるのが怖い。その場を逃げ去りたいような気恥ずかしさだった。
 しばらくすると、ブロントは顔を上げた。読み終えたらしい。
「おまえ、すげえな」
 ふいにそう言われる。もずもずした感じが一気に晴れ渡った。
「面白えよ。探偵もなんか格好いいし。このあとどうなるのかすごく気になる。こんなに面白いの書いてたんだな」
「ふ。ふへへへ。そうかなぁ」
 顔のにやけが止まらない。抑えようとしても端から顔が言うことを聞かないみたいに、ふへへへ、と笑ってしまった。
「でもやっぱり。検閲して良かったぜ」
「というと?」
「なんで、俺が登場してないの?」
 それが小説警察の目的だったらしい。
「だったら死体にしてやる」

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