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狂った世界にしかいられない

※ゲーム本編前
※sanster風味


「サンズ君、その死体をこちらに運んできてくれ」
「……まだ、死体ではないです」
「似たようなものだろう。いいから運びたまえ」

ガスター博士に言われて、王のお触れによって提供された死にかけのモンスターを運ぶ。そう、まだ死んでない。けれども、この人にとってはこれはただの実験材料で。
運んだ先の部屋には、同じように死にかけのモンスターの山。ある者には管が突き刺さり、ある者は培養液に入れられ……。ガスター博士の信奉者でさえ、地獄が存在するならきっとそこにはこんな光景が広がっているんだろう、と称していた。

「サンズ君、分かるね」
「はい」

度重なる実験に使い物にならなくなった実験材料の処分はオレの仕事だった。ガスター博士の手足として造られたオレに拒否権はない。せめて苦しまないようにと、一思いに骨を突き刺した。……何度やっても慣れない。慣れる日は来ない。
オレのことを道具として扱うのなら、どうしてこの人はオレに自我を、感情なんてものを付けたのだろうか。オレが実験材料を処分するのをニヤニヤと見守るガスター博士に目を遣った。

「処分もだいぶ上手くなってきたね。いい事だ。サンズ君には将来、沢山戦闘をこなして貰わないといけないのだから」
「将来? 戦闘?」
「ああ、こちらの話だよ」

ガスター博士は上機嫌に笑う。それは信奉者には悪魔の呼び声、と恐れられていた。この人がとんでもない事をしでかす前触れなのだと。

「サンズ君、そろそろ君も実験に加担してもらおうか」
「はい」

博士に何らかの薬品の入った注射器を渡される。これを注入することで実験対象に何が起こるかは知っていた。けれども、オレに拒否権はない。

「ああ、サンズ君は私の言う事をちゃんと聞く良い子だね」
「ありがとうございます」

それでもオレは、この人から離れられない。

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