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【ロビ→ジュナ】あぁ麗しきトルソーの君!

「えっ」
「え?」

出会い頭にそんな驚きの声を聞けばアルジュナだって疑問に思うってもんだ。

「アンタ、そのコート…」
「あぁ、先日、ビリーさんがフリーマーケットに出すと仰っていたので、安価で譲り受けたのです」

なかなかサイズがぴったりで、とアルジュナが表情を和らげながら言う。そりゃそうだ。目の前のロビンが君を想って作ったコートだからね、それ。好きでもない洋裁実技の実習で作った、細身のスプリングコート。色は珍しい、アッズーリの青。古くイタリアでは聖母マリアの色に掲げられるくらいの色。
大層丁寧に裏地までつけてられたコートを着るアルジュナは、僕にだって上機嫌なのが分かるくらいだった。確かにアルジュナは普通の規格よりも手足が長いし、コートのラインがぴったりになるのはそうそう無いのだろう。

専門学校では、不規則な期間でフリーマーケットに制作物を引っ提げて出店する。おおよそがゼミ生による、そのゼミの資金を調達するために行われるものであって、僕もジェロニモの研究室の雑費を稼ぐために他のメンバーたちと出店することがある。それとは別に、店などにおいてもらう場合もある。例えばアンデルセンはオートクチュール専攻なために布代が馬鹿にならないため、シュシュや小物を作ってはロビンフッドのバイト先の喫茶店のレジ横に数点ずつ置かせてもらっている。これがなかなか、馬鹿にできない。

「それにしても、随分気にいってくれたみたいでよかった。作ったやつも浮かばれるね」
「そんな大袈裟な…」

アルジュナはそう言いつつ、ネロに呼ばれて場を離れる。
残されたのは片手で顔を覆ったまま微動だにしないロビンと僕。

「…………いくらで売ったんだよ」
「二千円」
「この間お前が無意味にメシ奢ってきたのってソレ!?」
「感謝されても怒られるいわれはないと思うんだけど?」

ふん、と鼻息荒く腕組みを一つ。
まったくこの男ときたら! 課題でコートを作っておきながら、渡したい相手のアルジュナには見せることもせずに、ジェロニモの研究室のフリマ用の衣類箱に適当に放り込んできたんだから。

「(青は、聖母の色。だけど、最初は蛮族の色だった)」

思慕、思索、敬虔。そのすべてが当てはまるようで、しっくりこない。君たちに似合うのは神様の目の前で跪くことではなくて、もっと純粋に、愛してくれと叫ぶことだと思うんだけど。

「んで、感想は?」
「は?」
「自分の作ったコートをアルジュナに着てもらった感想」
「……あの王子様のために作ったんじゃねぇよ」
「へぇえ? カルナにばれないように、放課後にカルナのトルソーの採寸してたのに?」
「はぁああ!?」
「そりゃあぴったりだよねぇ、アルジュナのサイズに! なんてったって、カルナのトルソー使って作ったんだからね!」
「ちょ、ま、待てテメェ! なんで知ってんだよ?!」

ぶっちゃけ、カマかけただけだったんだけど、本当だったんだ。
こりゃカルナにばれる前に逃げといた方が良さそうだなぁ。馬には乗る方が性に合ってるし、蹴られるのなんて、どっちになんだか分かりゃしない!

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