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よかにせ ※未完

まったく言葉が通じないことはなかった。もともと薩摩は琉球の政治に口だけでなく人も送り込んできていた。文官は薩摩国の言葉を理解していた。琉球の中央の文化も、島々の音曲にくらべれば薩摩に近かった。
運がいい、と嫌みったらしく言われた。水流様にどれほど気に入られたのだ、と嘲笑された。外見を笑われようが、出身を笑われようが、どうでもよかった。俺は長崎へ行く。それさえ果たせればよかった。何をされようが、何を言われようが、どうでもよかった。雑音でしかなかった。
運が悪ければ琉球へ送り戻されるか、打ち首になるか、奴隷として国外へ売られるか。船底にいた時、残りの水と食糧を確認し、死を覚悟する気持ちを隅に追いやり、長崎に行くことだけを考えていた。それが癖になったのかもしれない。聞きなれない言葉から意味を聞き取り、最低限の言葉で返した。ふざけているのか、と殴られた。中途半端に言葉を合わせようとすれば、それもまた殴られる要因になることはわかっていた。だから、最低限の言葉しか使わなかった。
水流と出会ったのは取り調べの時だった。運が良かったのだろう。警護長として赴任したてだった彼は、かつて長崎に遊学した経験のある人物だった。
オハンが船に潜り込んだ目的はなんじゃっと
彼以外に出会った者とは違った、落ち着いた目をした人物だった。精神の落ち着きは顔に表れる。信頼に足る人物なのは、第一声で分かった。
長崎に行くため
長崎?
頷くと、オハンは学士か、と尋ねた。
志している
ほう、と水流は驚いた。



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