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白い手袋

白い手袋が頬を包み撫ぜる感触はどちらかと言えば嫌いじゃない。少し毛羽立った布地が耳の縁をなぞる。こそばゆくて首を竦めようとすればその隙間に白い手袋が先回りして肩と首の間に挟まった。悪戯が成功して嬉しいのか挟まれながら白い指がバラバラに動き出す。
余計にくすぐったくて今度は体ごと捻って白い手を抜こうとすれば、それに合わせて相手の腕が体に巻き付いた。一頻り攻防を繰り返して落ち着いた頃、白い手袋をした手がまた頬を包み撫でだした。
まるで愛玩動物を愛でる手つきに抗議したところで聞く耳を持たない相手のことだから適当に流される。だがら、撫でてる白い手袋をした手を掴んで――その白い手袋を取ってやった。
白い手袋に隠されていた本来の手が現れる。人のそれとは違う、長い指と鋭い爪を持ち硬い皮膚に覆われた人ならざる者の手。指の本数だって違う。
「ビル?」
こちらの意図が読めず為すがままの相手を他所に手袋に隠されていた手に頬ずりをした。手のひらの窪みに合わせ頬をあて擦る。動くたび鼻を擽る匂いを肺にしまいこんだ。
「何をしているんだい」
言葉で返さない代わりに唇を少しだけ手のひらに押し付ける。唇から伝わる感触は今まで味わったことの無いものだった。
まだ分からないようなので声に出してみる。

「直接、肌に触れ合いたいって、思った、から……」

どもりはしなかったけど、尻すぼみになった声は果たして相手に届いただろうか。

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