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【カルジュナ】ショタスナイパーxボス3

さて、結論から言うと私は根競べに負けた。
遥か東方ではお百度参りとでも表現するらしい。カルナは私の元へと度々脱走を繰り返し、とうとうボスが手駒として子飼いにしておけと言い放ったのだ。おそらく子供でも侵入できるような場所に居を構える私のセキュリティ状況にも眉を寄せていたのだろう。私を他所に、どうせ置くのならばとカルナに銃を持たせたのだ。
私はこれに反論しようとした。それでも自分のファミリーのボスの決定ならば絶対だ。カルナが意気揚々と銃を持ちながらも、その手つきはどうにも危ない。私はよく知るスナイパーの元にカルナを連れて行った。

「ビリー」
「やぁ、君の連れてきた彼、凄いじゃないか。逸材だよ」

ビリーという、私の護衛を何度も担当している彼の名前を呼ぶ。ここは一般人も利用するオフィスビルの中のテナントを、ワンフロア分ぶちぬきで作ってある射撃場だ。五十メートルくらい幅は欲しかった、と唇を尖らせるビリーの言葉は過去のものである。

「一週間くらいで根をあげるかなって思ったけど、そうでもないね」

薄く見えて、防弾防音に優れたこのフロアの壁からは音が漏れない。銃弾ではなく金銭が飛び交う最先端のオフィス街の中に、こんな射撃場があるとは誰も思わない。私も以前はここでよく試し撃ちをさせてもらっていたものだった。
私は防音ガラスの向こうに見えるカルナの横顔を見る。
私の護衛になるのなら、と問答無用でビリーに泊まり込みの射撃訓練を依頼したのだが、まさか本当に身に着けるなどとは思ってもいなかった。軽い口調とは裏腹に、ビリーの技術は確かなもので、そしてさらに他者への要求もかなり厳し。
初心者コースならば、全体を仕上げるのに一か月あたりだろうが、たいていは一週間も経たずに根を上げ始める。起きている時間はほぼ射撃場に立ち、起床は五時、就寝は二十五時。そして就寝の際は部屋に鍵をかけてはならず、誰かの気配を察知したらすぐに飛び起き迎撃態勢をとること。
私が見るカルナの頬にも瞳にも、疲労の色は見られない。ビリーの教育方針が変わったのでなければ、カルナは確かにこの教育の波に飲み込まれずに御すことができているのだろう。

カルナが、半身をずらしたままの姿勢で照準を合わせている。
二十メートル弱といった間合いの先にある的は、人型をした上半身のみのプレートだ。私がそこを見ると、見るも無残に、頭部から頸部にかけてがかなりの数で撃ち抜かれている。

「彼、きっと将来は君の護衛になるね」

ビリーの音に重なり、パァン、とひと際高い音が立つ。カルナが撃鉄を引いたのだ。

「御冗談を」

カルナの撃った弾が、プレートを揺らす。そこに、真新しい穴が一つ増えた。ちょうど眉間の部分だろう。
私はあの、拾い上げた時の小さな体を思い出しながら防音ガラスの向こうへ焦点を合わす。すると野生の勘でもあるのかという動きで、はっとカルナがこちらを見た。

「いいや、予言するよ、僕は。君がボスになったら、彼はいい忠犬になる」

それが本当になるべきではないということを私は知っている。しかし、当の本人は、どうだとばかりに的を指差してきた。
私はおざなりに手を振って答え、それからようやくビリーに仕事の話を切り出す。カルナは私がビリーに用事があったということに気付いたのか、わずかに表情を歪ませた。

「私はボスではありませんし、ボスにもなりません」

その時は、心からそう思っていたのだ。

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