ジャンル:カルジュナ お題:意外!それはコメディ 制限時間:15分 読者:131 人 文字数:1473字 お気に入り:0人

【カルジュナ】ショタスナイパーxボス7

人質を取られているというのに、一切の躊躇を感じさせない私たちに、予想が外れたとばかりに集まっていた下っ端たちが霧散していく。
私はふと思い出したように手榴弾を取り出し、埠頭の最も大きなコンテナに向けて、片手で精一杯の力を込めて投げてやった。急ハンドルを切り、その場を後にする私の動きを読んでいたかのようにカルナが照準をずらし、障害になっているフェンスを、鍵ごと吹き飛ばす。
こうまで息の合う輩も珍しい、と私は少しだけ口元を緩める。

「アルジュナ。人質はどこに居る」
「ここには居ないだろう。心当たりはある。端から潰していくぞ」

カルナが驚く気配が伝わってくる。どうせ私のことだから、大事を取って交渉から入るのだと、まだどこかで考えていたのかもしれない。

「あのリストにあった者たちは、絶対に死なない。そういう奴らだ」
「信頼、しているのか」
「あぁ」

ボスよりも、と私はささやかな声で続けた。
私がこの世界に足を踏み入れたのは、ただ肉親がこちらの人間だったからだ。カルナよりも幼い時に人の急所を教えられ、媚びの売り方を知り、人の心を舌先で転がすことを覚えた。

「先に裏切られたのだ。命を狙われ返しても文句は言うまいよ」

くつくつと私は笑いを噛み殺すように笑い、再びハイウェイを走り出す。私のハンドルを握る手に、そっとカルナの手が重ねられる。白く細い手は、銃からの排気による火傷を恐れていないようにも見えた。きっと、自分の手に合う手袋が無かったのだろう。スナイパーとも見紛うカルナの銃捌きは、その体躯に見合わぬ大人用の手袋を着用しては難しくなるはずだ。

「やめろ。運転を誤る」
「オレはそれでも構わない。それくらい、今のアルジュナは魅力的だ」
「口説いているのか?」
「伝わっていなかったとは心外だ」

む、とカルナが私の頬にキスをした。私はそれを拒まない。

「お前をボスにしたら、これ以上の報酬を貰おう」
「わざわざ予告するとは」
「でなければ、お前は拒否するだろう」
「そりゃあするだろう。私に幼児趣味はない」

カルナはするりと私の太腿を撫で、それから助手席に戻ってライフルの照準調整をする。言葉にせずとも、不服そうな雰囲気だけは分かる。
ハイウェイに流れるライトを横目に、私は、ビリーの言葉が近いうちに現実になるのだろう、ということを静かに確信していたし、カルナはきっと私のためにこれからも誰かを殺すのだろうな、ということを思った。
それは悲しいことだろうか? と私は私に問いかける。
私はカルナが、人並みの生活をして人並みの未来を手に入れることを願って孤児院へと送った。けれどもカルナはそれを幸福とは思わなかった。孤児院の院長の言った、「あの子は賢い。賢すぎるのです」という懺悔のようなフレーズが脳裏に響く。
賢さは罪ではない。無垢が罪ではないように。
そして全てを知って尚、罪業の上に立ち続ける気概を持った人間を、私は決して唾棄しない。

す、と深く息を吸う。きっと今頃は埠頭から連絡が入った隠れ家たちで上へ下への大騒動をしているはずだ。
銃を握り、敵のねぐらに突入して制圧する。死と生の境界線で踊る歓喜と高揚を、どう表現すれば良いのか。私はその時の昂りを思い出して自然と口元に弧を作った。

「言っておくが、アルジュナ」

銃弾の残量を数えながら、カルナがエンジン音に負けじと声を出す。

「オレがお前を抱く。それだけは違えるな」

私の脳は、カルナの言葉をシャットダウンした。そればかりは、どうやら聞き間違いだろう。

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