夕方からの日常
(オリキャラ居るよー。夢主は金田一と探偵学園の世界出身)
【日常に落とし込んだこと】
夕方、勤務地である喫茶ポアロのドアベルが鳴り、客が入っていたことを高遠雪姫は察知した。
「いらっしゃいませ」
「雪姫姉ちゃんだ。あれ、今日はお休みって言ってなかった?」
あどけない声が聞こえる。雪姫はこの声についてよく知っていた。
ポアロのテナントが入るビルの二階にある毛利探偵事務所の居候、江戸川コナンだ。
このビル、三階は毛利家の住居なのである。
「誰とは言わないんだけどメインのバイトがいきなり休んで梓ちゃんも忙しくて、店長も用事が入ってね」
「……あー……大変だね」
誰とは言わないがコナンは察してくれる。
雪姫が働いている喫茶ポアロではバイトが一人居るのだがそのバイトがよく休むのだ。
今日は休みであったが午前中に買い物をすませて午後はゆったりしていた。
ポアロ内の客は今は居ない。
「店長が帰ってきたら帰るよ。今日は」
「蘭姉ちゃんが夕飯はポアロで、って、空手部の練習なんだ」
コナンがカウンター席に座る。食事を取れと言うことだろう。食事については家賃から引かれていくというか、
ここで食べてくれれば実質、店が毛利家に払うテナント料がある意味相殺されるのだ。
「メニューをどうぞ。飲み物は、いつもので?」
「いつもの!」
コナンの前に氷水を出す。
彼に関しては一つのルールがあった。他の人と入ってくる時は飲み物の指定を聞くが、
一人で入ってくる時はいつものになる。雪姫は早速準備を始めた。
冷蔵庫内にある作りたてのアイスコーヒーを取り出すとロンググラスに氷を入れて注ぎ込む。
砂糖とガムシロップは一応置いて置くが、コナンは入れない。
(少年探偵団の他の皆は入れるんだけどね。……哀ちゃんも入れないか)
阿笠邸に縁があっていき、珈琲を入れることがあるが、コナンとよく行動をしている少年探偵団の皆は
淹れているというか彼等小学校一年生だしねとなりつつ阿笠邸に居候をしている灰原は淹れずに飲んでいた。
アイスコーヒーを置く。
「それなら、ナポリタンで」
「スープも付けておくから」
ナポリタンにはサラダが付きなのだが、ランチのスープが余っているので、つけておく。
調理に取りかかろうとすると多機能情報端末が鳴った。見て見る。
内容を一瞥してから、改めて雪姫は調理に取りかかることにした。
高遠雪姫はこの世界の住人ではない。
元々は別の世界出身で高遠雪姫もこの世界に来てから名前を変えてみようとかそんな理由で、一応友人の名字を借り、
呼ばれていた異名を名前にして見ただけだ。この世界と似ているが違う世界出身である。
そういうと大多数の者からは正気を疑われたりするのだが、事実なので仕方が無い。
××××は存在しないのだ。
そして雪姫の知り合いも家族もこの世界には存在しない。
コナンにナポリタンを作り終えてから店長が帰ってきたので帰路につく。
スーパーで買ったのは豚肉の切ったものだ。
与えられた小奇麗なマンションに戻り、部屋に入り調理する。
料理を二人文並べて、しばらく待ってみる。
「ただいま」
「おかえり。……お疲れ様。店長がまたかみたいにしていたわよ。良くクビにならないわね」
疲れたように褐色の肌の青年、今の彼を雪姫は降谷零と呼ぶ。
「バイトだからね。解っていて言っているんだろうけど、バイトでも辞めさせられるときは辞めさせられるか」
仕事中にかかってきた連絡が豚肉が食べたいだったが、メニューはお任せと言うことで今回は豚の生姜焼きにした。
降谷が雪姫に大きな封筒を渡してくる。
厚みからしてかなりの紙が入っているようだ。
「開封は後でで良い?」
「食べてからで。君の見解が聞きたい」
この世界に来た雪姫が米花町に流れ着いて、ある殺人事件にてコナンや毛利蘭と、
知り合い喫茶ポアロで安室透と知り合い、いくつかの事件後、降谷零と取引をしてこうしている。
彼にはいくつか秘密もあるしコナンもあるようだが聞かないところは聞かない。
「明日はバイトに出るよ」
「出なさい。私は朝だし。長く働けることには働けるけど」
「いい手じゃないか」
「コナン君は察してくれたけど、呆れた顔をしていたわ」
バイト関係で長く働ける理由はあるがそれこそかなり偽装関係で誤魔化しつつ正統なところは
正統にはしてある。
「食べようか」
「味は私の味だけど」
「それでいい」
元の世界もそうだが、この手の者と付き合うのには慣れている。割り切りと言えば割り切りだ。
似たような者なんて犯罪者だったしフクロウの世話を押しつけてくるし、
雪姫と名乗ったときに名字を借りた者ではあるが。
「……今週はそっちが持ってくる以外の事件は起きないといいけど。米花町、私の性質を除いても、
事件が起きすぎだっての」
「そうかな」
「そうだって」
犬も歩けば棒に当たるならぬ、犬も歩けば事件に当たる度が酷い。
雪姫の性質というのは死神性質というか体質だ。行く先々で事件が起きる。
「君ならば解けるだろう。名探偵」
「本業はバリスタ」
おじのこともあり、生まれ育った環境のこともあり、探偵と言っても差し支えない雪姫だが、
本業はバリスタだ。バリスタなのだ。バールマンでもいい。
店も経営していた。
訴えれば降谷は爽やかに
「副業にすれば良いじゃないか。いただきます」
「しないからら。いただきます」
「美味しい」
豚肉の生姜焼きに口を付けた降谷が気楽に気を抜けたように呟いたので、
雪姫は体の力を抜くと自身も食べることにする。
彼女からすれば、この日常が安定しているのだ。
端から見たら、歪かも知れないけれども
【Fin】
作者:秋月蓮華
ジャンル:千銃士
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作者:秋月蓮華
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