ジャンル:ガールズ&パンツァー お題:許せない寒空 制限時間:30分 読者:210 人 文字数:1697字 お気に入り:0人
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最後、尻尾が生えます。

あったかもしれなかったガールズ&パンツァー





すでにここに私が到着してから1時間が経過している。待ち合わせの時刻は30分は悠に超えている。

本土の気候は、もうすぐ五月だというのに熱くなったり寒くなったりを繰り返して、一向に安定する兆候を見せない。

その上、今日ははずれもはずれ。ジャケットを着ていても肌寒い気候だ。

息こそ白くならないものの、冷え開いた襟元から流れ込む空気は容赦なく背中に鳥肌を生産していく。

黒森峰の学園艦はまだましだった。だいぶ南のほうを航行していたせいで半袖でも余裕で過ごせていた。

それに油断せずに念のためと荷物になることを覚悟してジャケットを持ってきたあのときの私を褒めてやりたい。

……。

いや。それとも行くだけ無駄だと、あのときの私を制止するべきだったか。

みほはもう……黒森峰の生徒ではないのだから。

彼女が大洗で戦車道を続けていると聞いて、私の中に芽生えた感情はなんだったろうか。

怒りか、失望か。

焦りか、嫉妬か。

きっと全てなんだったと思う。

私がみほと一緒に戦車に乗りたかった。一緒に戦いたかった。

あの時、くだらない見栄と意地に支配されて……。あの子を責める立場に立ち、寄り添ってあげることができなかった私にそんなことを言う権利はないのだが……。

でも私はここにいる。

大洗でみほが聖グロリアーナと戦ったと聞いて、私は思わず携帯を手に取ったのだ。

そして一方的に、今日、この場所にみほを呼び出した。

返信はない。

当然だ。

でも、私は今日ここに来ることにした。

たとえみほがこなくても、ここで待とうと思った。

あって何を話すというのだろう。

なにを言えばいいのだろう。

……。

どう……、許しを乞えばいい。

昨日の夜はそんなことばかり考えて、ほとんど眠れていない。

いつだったかみほがくれた小さなクマのストラップを握り締め、一晩中うなり続けた。

そのクマは、今もポケットの中に入っている。

こんな子供っぽいもの、携帯にも鍵にも、もちろんかばんにもつけることができなくて、自室の机の上にずっと置かれていた。

どうせなら、一回くらいつけてもよかった。

きっと、あの子は私が気に入らなかったからつけないんだと思っているだろう。

まあ、デザイン的には気に入る余地なんてなかったのだが、それでも私はこのクマが『お気に入り』なのだ。

……名前も知らないのだけれど。

ぼうっとしている私の髪を、強い風がばさばさとかき乱す。

風には嗅ぎ慣れた潮の香りが混じっていた。私が立っているところからは見えないが、海が近いのだろう。

はじめてきた大洗だが、なんだかそんな気がしない。

みほがいる町だと思うと、懐かしさすら覚えるから不思議だ。

学園艦の上を通り抜ける潮の香り。

ティーガーの装甲から漂う、鉄と錆の匂い。

88㎜を撃つたびに充満する火薬とそれが焦げた臭い。

そして、そこにほんのわずかに混じる…。

隊長のものと似ているが、どこかやさしい感じも持つ、みほのにおい。

目を閉じると、まぶたの裏にはその光景がありありと映し出される。

私の戦車がみほの戦車を追いかけている。

試合が終わり、すすだらけでみほが笑っている。

みほが一人黙々と、楽しげに戦車を整備している。

不思議と忘れることができない、頭に焼き付いた風景だ。

みほがいなくなってからというもの、私の視界にはいつも物足りなさを感じていた。

ここに、あそこに。

隣に。

もうみほはいないんだと。

……。

もう、あきらめるべきかもしれない。

約束の時間は、一時間まえに過ぎている。

この寒空の中、一時間もよくがんばったほうだろう。

みほはきっと、私のことを許す気はないのだ。

次にあうのは、全国大会だろう。

そのときは、もう決定的に敵なのだ。

ああ、胸が痛い。

視界がにじむ。

嫌だな。

ああ、嫌だ。

せめて一言。

あのこにあって、ごめんねと……。




「エリカさん!」


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