ジャンル:Fate/Grand Order お題:東京の血痕 制限時間:1時間 読者:74 人 文字数:993字 お気に入り:0人

自分を失い過ぎた少女の独白


(※1.5部新宿、2部1章アナスタシアネタバレ、また真名バレがあります)







 よく、あの日を思い出す。
 ボタン一つで命を決めた、あの日のこと。

 その時はダディが寸前で私からボタンを奪ったけれど、GOサインを出したのは私だ。かつて人の生命だったソレらを吹き飛ばそうと、最終的に決めたのは私だ。
 彼らを殺したのは私だ。

 あの日の断末魔を、不協和音を、太陽が照らさないアスファルトに散った彼らの肉片を、私はよく思い出す。


 ダディが……モリアーティが言っていたのはきっとこのことだったんだと、私はマイルームとして新しく宛てがわれた此処で思いに耽った。


 ────こんな強いだけの世界に負けるな。


 昨日だ。つい昨日のことだ、それは。ゴワゴワの毛皮から少しずつ体温が消えていくのをどうしようもなく抱きしめながら、マシュと一緒に縋り付きながら、私は呪いをかけられた。先に進むことしか出来なくなる呪い。

 それから私は立ち上がって、空想樹を刈り取るまで止まらなかった。それが終わった時、みなは私を心配するように見てきたけれど、私はただこう思っただけだった。


 世界って、案外単純に消せるんだな、と。


 ゲーティアは詰まるところ『人類への憐憫』から世界を燃やした。同じことをしようとしている私は、何を掲げているように見えるのだろうか。前回と同じ、人理修復?世界を救う?違う、私はまた、生き延びたいだけだ。

 生き残るために。殺されないために、私はいくつもの世界を滅ぼそうとしている。前の私なら憤っていたはずだ、理不尽だ、と。全て救いたいと思って何が悪い?切り捨てるなんて出来やしないんだ。

 ……それは、甘えだ。そう思い知らされた。どうしようもなく悪意蠢く新宿、あの魔の街で、差し伸ばした手を噛みちぎられるくらいなら最初から見捨てなければならないということを学んだ。
 アガルタで、下野国で、セイレムで。関係の無い人が死んでいくのを、ただ見ていることに慣れていった。慣れたくなかった、けど。歯がゆい思いを飲み込むことに、だんだんと慣れていく私がいたのだ。

 そうして、私は永久凍土帝国にやってきた。
 この私は、もうカルデアに来た頃の藤丸立香ではない。あの頃の無邪気で普通の少女はもういない。


 幾多の傷と涙に塗れた、冷酷な私がいるだけだ。

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