ジャンル:HTF お題:最後の壁 制限時間:2時間 読者:48 人 文字数:2022字 お気に入り:0人

恋の壁(ランモル・ハンモル)

今日は春の陽気が暖かく絶好のデート日和だ。
心はウキウキ、デートの最後にはキスとかしちゃったり……
素晴らしい一日!!……になるはずだった。
……なるはずだったのだ。
「ランピー、リニューアルされた遊園地、近いうちに行ってみたかったんです。誘ってくれて本当にありがとうございます」
「いや、いいんだよ。一人で行くのも寂しいからさ……」
どうしてこうなってしまったのか。
こんなの……
「楽しみですね、ねえ、ハンディ」
「そうだね。モールさん」
こんなの最悪だ!!
「今日はよろしく頼むな、ランピー」
「え、うん、ははは……」
ハンディのそれは完全に作り笑いで感謝の念などこれっぽっちも無いのが手に取るようにわかる。
モールの手前、邪険にするのもはばかられるため一応笑みを浮かべているのだろう。
……なーんでハンディなんか連れて来ちゃうの……いや二人が親しいのは知ってるけど……
そもそもランピーとモール恋仲では無い。
ランピーが勝手に片思いしているだけである。
今回の自称デートもモールにデートしましょう、とランピーは伝えたわけではなく親友として遊びに行こうという体で伝えただけである。
モールが他の友人を連れて来ることに文句を言えるような立場ではなかった。
「何に乗りましょうか、ランピー?」
「……そうだなあ、コーヒーカップとかどう?」
「分かりました、ハンディ、ランピー行きましょう」
側から見れば落ち着ききった声色のモールだが、ランピーにはモールがいつもの声色と違い、声が少々上ずって興奮しているというのがなんとなくわかった。
モールはイベント事とか好きだからなあ……
自然と笑みがこぼれそうになるが、ハンディと目が合い慌てて真顔に戻る。
ハンディの表情には敵意というより、静電気で顔にくっついてくる髪の毛を振り払っている時のようなある種の面倒くささと不快感がにじみ出ている。
居心地が悪すぎる……
取り敢えずモールの姿だけを目で追いながら溜息を飲み込んだ。



「次は何に乗りましょうか」
コーヒーカップから降りたランピーはすでに帰りたくて仕方がなかった。
ハンディがなんとも言えない、刺すような視線を向けてくる所為で心からはしゃぐことができない。
「俺はバイキングに乗りたいな」
ハンディがいかにも楽しんでます、といったトーンでモールに話しかければモールはじゃあ次はそれに乗りましょう、と目尻を下げた。
最悪である。
居心地が悪すぎるのもあるが、モールが自分以外と楽しそうに話しているが気にくわない。
醜い嫉妬だとはわかっているがこれだけはどうしようもない。
ランピーは胡乱な目つきで、心の底から幸せそうなモールの後ろを歩きバイキングへと乗り込んだ。



「ランピー、ハンディ、今日は楽しかったです。ありがとう」
閉園間近の夕暮れ時、三人は入場門の外のベンチに座りながら、一日中歩き回り棒になった足を休めていた。
「良かったらまた三人で出かけませんか?」
禁断の質問が来てしまった。
ランピーはそうだね……お互いの予定が重ならない時にね……と曖昧にぎこちなく答え、心の中でもう二度とごめんだ!!と叫んだ。
「……すみません、少しお手洗いへ」
ランピーの心中を知ってか知らずか、モールはトイレへ向かいベンチにはハンディとモールの二人きりになる。
気まずい沈黙を破ったのはハンディの一言だった。
「俺はアンタにモールさんを渡さないよ」
アンタみたいなちゃらんぽらんにはモールさんは似合わない。
ハンディは藪から棒に辛辣な言葉をランピーに浴びせかける。
「……そんなのはモールが決めることだ。ハンディ、お前に決める権限はないよ」
お前もただの友達だろう?
負けじとランピーも鋭い言葉を投げかけ、二人の間に険悪な空気が流れる。
……ああ、ハンディもモールが好きなのか。
想い人に向けられる他人の好意は嫌でもわかってしまうものである。
膠着状態の二人の元にモールが戻ってくる。
「お待たせしました。ランピー、ハンディ、帰りましょう」
渡りに船とはこのことで膠着状態は一瞬で解け、ランピーとハンディは我先にとモールの左右に陣取る。
「ねえ、ランピー、ハンディ、今日は楽しかったですか?」
もちろん!!
意図せず返事がハモり困惑する二人に、モールはタートルネックの下で柔らかく微笑む。
「私、二人に仲良くなって欲しくてハンディを連れて来たんです」
二人は仲良くなれると思いますよ、だって二人とも私の親友ですから。
……親友。
屈託なくそう語るモールに二人は恋の最後の壁はライバルではなくモール自身なのだと悟り、まだまだ長いであろう道のりに軽く自棄になるのだった。













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