ジャンル:名探偵コナン お題:わたしの嫌いなドア 制限時間:30分 読者:64 人 文字数:1319字 お気に入り:0人

未完(赤安) ※未完

 格段、音楽や芸術に詳しい訳でもない。一応、探偵を名乗る以上常識問題として最低限の知識は取り入れているものの、それはあくまで「必要」とされる有名どころを抑えているだけに過ぎず、こうやって今聴いている音楽を誰が作ったのか、いつ頃に作られたものなのか、という事までは知らなかった。
 目が覚めれば、もうベッドには自分しか居なかった。セミダブルサイズは男二人には少々手狭に感じるものの、こうしてひとりで休む分には十分に広いと思える。それが何だか寂しいなあ、なんて思いながらも、降谷はしわくちゃになったシーツの海に再び身を沈めながら、少しだけ煙草のにおいの残ったそれに顔を押し付けて。
 互いに休む暇も無いくらいに忙しくて、家に帰るのすら惜しい中で休日のすり合わせなんて出来たものではない。自分の部屋に帰るのすら億劫なのに、どうして他人の為に時間を割けようか。恋人同士なのに酷い考え方だ、なんて思いながらも、多分相手も同じ事を考えているのだろうと思えるのは、多分自分達が似たもの同士だから。
 それでもこうして、自分ではなく彼の家に来ようと思ったのは及第点だと褒めて欲しい。そして、そういう時に限って彼も自分の部屋に帰って来ていて、思わず顔を見合わせて笑ってしまって。

 多分、ジャズとかそんな風な音楽なんだろう。ムーディーな曲を控えめな音量で吐き出す、ベッドと反対側の棚に置かれたレコードプレイヤーをじっと見詰めていると、少しだけ忙しそうな足音と共に少しだけ開いていた寝室のドアが完全に開き、いつも通りに黒一色の服装の赤井がぬっと顔を出した。
「起きていたか」
「今……てか、もうそんな時間、ですか……?」
「君はもう少し休んでいられる時間だ。すまない、ジョディから火急の呼び出しを喰らってしまってな」
 てっきりまだ降谷が寝ていると思い込んでいたらしい赤井は、布団から覗く降谷の表情に少しだけ驚いた様子だったものの、すぐに扉を開けて部屋に入ってくると、ベッドサイドに腰を下ろしてぼさぼさになった金髪に指を通してまるで子供をあやすかのように優しくそれを撫でた。少しだけベッドが沈み込み、力の抜けた身体が彼の方へと滑ってゆく。
「朝食は用意してあるから、好きに食べていってくれ。片付けは帰って来てからやるから、そのままでいい。電気と火の元、鍵だけはきちんと確認して出て行ってくれると有難い。……嗚呼、レコードは止めていこうか」
「否、そのままでいいです」
 ぐっと上半身を起こして伸び上がり、こちらを見下ろす男の鼻先に軽く口付ける。髪を撫でていた手が頬に添えられ、幾度かバードキスを繰り返しながらも、赤井の手が素肌を滑り落ちたシーツを自然な所作で拾い上げ、むき出しの肩へと掛けてきた。唇を離した隙間で、「目の毒だ」と吐き出されるように呟かれた言葉に、意地悪く微笑んでその下唇を甘噛みして。
「ほら、早く行って下さい。僕なら大丈夫ですよ」
「……じゃあな、零君」
 たっぷりと、名残惜しげに降谷を見詰めた後、赤井はやはり慌てたように部屋を後にする。ぱたん、と寝室の扉が閉まり、少ししてから玄関の扉の開閉音がし、再び部屋の中にはジャズが充満する。

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