ジャンル:東方Project お題:昨日の内側 制限時間:30分 読者:74 人 文字数:2249字 お気に入り:0人

なんやかんや小町が映姫をデートに誘うだけ

昨日

内側

外側

なんの内と外なんだ?

三途の川・・・とか?



境界があるもの。

内訳。

外側の人から見て。

なんの?

昨日の話になってくる。

伝聞?

語り口調か?

「昨日は”内側”はどうだったの?」


 内と外、などと呼んではいるが、実際どっちが内なのか外なのかは、うまく定まっていないのである。
 というのは、三途の川のはなしだ。現世側は此岸(しがん)、あっち側は彼岸(ひがん)である。そして、小野塚小町的には、現世側は外側で、あっち側は内側だ。これも、なにか厳密に決めたわけではないのだ。なんとなーく。イメージ、である。生きている方が内側っぽいし、死んでいたら外側っぽい。そのような感じ。
 小野塚小町は、三途の川の船頭である。そのため、内側と外側でのカルチャーの違いに敏感である。上司である四季映姫・ヤマザナドゥとも、そのようなはなしをしばしばする。

「昨日は、彼岸側で、何か変わったことなどあったのですか?」

 定例報告のようなものがときたまあるのだ。そこで、映姫は小町に訊ねてくる。

「内側ですか? う~ん、特には」
「内側?」
「あ、いえ。こっちのはなしです」

 小町は愛想よく笑ってごまかした。映姫もそれ以上、追求する気もないようである。
 ともあれ、内側でのできごとって、なにかあったかしら。頭を傾けながら、いろいろ思い出す小町。最近は、なにもなくとも、なにか言わないといけないような気がしていた。なにもないです、というと、心なしか、映姫がジト目をしているように思われるのだ。どうせサボっているから、何も見ていないのでしょう。などと言わんばかりである。いちおう、昨日は、小町も仕事をしていたのだ。そのように思われるのは心外であるので、なんとか捻りだすべく、努力をしている。
 あっ、と声をあげて、小町は昨日、いちばん印象的だったことを思い出した。思い出してしまえば、しめたものである。

「此岸の川辺に、新しい屋台が立っていたんですよ。なんの店だと思います」
「屋台ですか。順当に、食べものなど、売っているのではありませんか?」
「それが、なかなか面白くてですね。鏡を売ってるんですよ」
「鏡ですか」

 そんなに、映姫としては、興味がそそられない様子。それは、鏡を売っていたからといって、面白いはなしでもなさそうなのは分かる。しかしここからが大切なのだ。そんなことを、小町はもったいぶって、続ける。

「ただの鏡じゃないんですよね。これが」
「鏡は鏡でしょうに」にべもない映姫。
「普通の鏡は、自分の姿が映るでしょう。でも、そこで売っていたのは、人の罪が、見えるそうですよ。四季様」
「それって、……」

 すぐに映姫の目つきも変わったのである。人の善悪が見える鏡というのは、すなわち、浄玻璃の鏡なのである。閻魔が裁判のときに、罪人の所業を見定めるために、使うのだ。三途の川の屋台など、地獄から上がってきた、仮釈放人みたいな連中が営んでいるものである。その程度の連中で、浄玻璃の鏡を持っているなど、ありえぬはなし。

「どうせ偽物でしょう?」
「実物をじっくりは確認しなかったので、ちょっと分からないんですよね」
「そのような眉唾を、あっさりと見逃したわけですか」

 ちょっと、映姫の声がこわい。これはいけないと小町は思った。説教の方向にはなしが進展していきそうである。
 しかし、そのようなところで機転を利かせるのは、小町としても得意技なのだ。すっと妙案を思いついたのだ。

「そうなんです。見逃してしまったんです」
「あっさりと自白しましたね。何を考えているのですか?」
「いーやぁ、なんにも。でも、見逃してしまったので、これは確かめに行かないといけないですよ」

 小町はにんまり笑った。悪戯小僧のような笑顔。それには特に気づかず、映姫も賛同する。

「そうですね。小町、ぬかりなく、お願いします」
「やだな、四季様。あたいは浄玻璃の鏡をしっかり見たことがないので、判断のしようがありませんよ」
「む」
「四季様が見てくださったら、分かるんだけどなあ」

 映姫はしぶい顔をした。それは、雑用のために此岸まで駆り出されるなど、閻魔としては面倒なはなしである。しかも明日は非番なのだ。率直に、嫌なのだ。
 しかし小町とて考えがある。「ご迷惑をおかけするぶん、ただでとは言いませんよ」と、ひたすらご機嫌に笑顔。

「せっかく此岸まで行くんですから、お勤めのあとは、里かどこかで甘味でも奢りますよ。せっかく非番なんだし。ね?」

 小町としては、映姫の非番の日、いってしまえばデートにもなるし、ふだん仕事詰めの映姫に休んでほしいという気持ちもあるのだ。
 しかし、そんな気持ちは、あんまり映姫には伝わっていないようであった。

「また、調子のいいことを。部下に甘味を奢ってもらうなんて、できるわけがないでしょう。わたしに奢らせる魂胆ですね?」
「いやぁ、そんなことは……」

 ちょっとあったのである。
 看破されたのでどうしようと、小町は思っていたが、しかし映姫は、そこでようやく笑顔になった。

「まあ、たまにはいいですけど。部下へのサービスも、してあげなくちゃね」
「やったぁ。流石は四季様だ」

 そういうわけで、明日は二人でデートが内定、普段はピンチの定例報告も、こういったかたちで使えると、たまには役に立つというものなのである。

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