ジャンル:世界樹の迷宮 お題:汚い人々 制限時間:15分 読者:50 人 文字数:869字 お気に入り:0人

wanderer

 非道い人間というものはどこにでも存在するもので、私を両親の元から連れ出した男は特別非道い人間だった。
 なにしろ、文字の読めない両親に支離滅裂な文章もどきを書いた、もとい落書いたペラ紙を手渡して「お前たちのような無学な人間にこんな賢い子は勿体無い、私が変わりに育ててやるからよこせ」と言ってタダで幼い私を引き取ったのだから。
 無学にあぐらをかいて何も学ぼうとしなかった両親は非道い人だったのだろうか?
 タダより高いものはないとはブラニー族がよく言う言葉だが、私の価値はタダでも勿体無い、無価値以下で0エン以下だと男は私を足蹴にしながらよく罵ったものだ。
 毎日のように私を嘲る男の言葉を聞き流し、気に入った単語があればそれを繰り返し繰り返し私に言って聞かせ、時々男の真似をして私を小突いたり蹴飛ばす子供たちは、果たして無邪気だったのか子供ながらに汚れきった心を持っていたのか、今となっては分からない。
「お前に一目惚れした旦那様がいる」
 そう言って連れて行かれた家は、私と同じ年頃の少年ばかりが集められた粗末な家だった。
 旦那様でもご主人様でもない、新たな主は自分のことを「父さん」と呼ぶように命じ、身についた習性からご主人様と口走ろうものなら頭皮が剥がれるまで床の上を引きずり回された。年長の者は物覚えの悪い新入りが何十回と殴られるのを見、薄笑いを浮かべ"父さん"を宥めすかすだけだった。
 薄汚れた人々の手を、足元を、体を通り過ぎるうち、だんだんと己の心身も彼らに相応しい穢れをまとっていくような気がして、そうして私は泣くことも笑うことも口を利くことも諦めた。
何をねぶらされたのかも覚えていない唇と泥やゴミを飲み下した喉から放り出せる言葉を思い浮かべられる程の知能は残されていなかったし、泣いても笑っても殴られるのだから無表情を貫いた方がまだマシだ。

 新たな主は私を何物として扱ってくれるのだろうか。新しい我が子か蠕動する芋虫か、椅子代わりにでもして貰えれば上等だろう。
 願わくばここで最後になれば良いのだけれど。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:ぽつタイプライター ジャンル:世界樹の迷宮 お題:ぐふふ、正義 制限時間:15分 読者:51 人 文字数:992字 お気に入り:0人
ひどい匂いのする腐った水をモロに浴びた仲間たち、そして私は、駆け出しの安っぽい生地でできた装備をばらばらと地面に一個ずつ置いていく。その姿が、なぜだか愉快で仕 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
FOE
作者:匿名さん ジャンル:世界樹の迷宮 お題:男の笑顔 制限時間:15分 読者:452 人 文字数:602字 お気に入り:0人
…いつまでそうしていただろうか。衛士である自分の手を浅い階層の泉に浸す。樹海で無防備に背中を晒しているというのは、あまり褒められた話ではないが、そんなことは全く 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
  ※未完
作者:匿名さん ジャンル:世界樹の迷宮 お題:永遠の戦争 制限時間:15分 読者:467 人 文字数:456字 お気に入り:0人
介錯してる。とん、と表現するには、その音はあまりにも、重い。どう考えてももっと濁音が入っているし、出来ることなら私はその音を表現する言葉を持ちたくはない。―-戦 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:世界樹の迷宮 お題:ゆるふわな靴 制限時間:15分 読者:659 人 文字数:747字 お気に入り:0人
姫シノとゆるふわゾディ靴を買おうと、思った。基本的に我々ゾディアックというものは、浮くものだ。肩から背中にかけて纏うようにしている発動機は、エーテルを利用してあ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
※未完
作者:ぽつタイプライター ジャンル:世界樹の迷宮 お題:そ、それは・・・外資系企業 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:1006字 お気に入り:0人
明日も知れぬ冒険者の一人として、カグツにも覚悟はそれなりにあったはずだった。 当たり前だと思っていたものが、一瞬でなくなる恐怖。確かなものなど、何一つとしてあ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:世界樹の迷宮 お題:緑の宇宙 制限時間:30分 読者:371 人 文字数:404字 お気に入り:0人
「緑の宇宙ぅ?」 葛葉が怪訝そうにそう聞いた。「はい、何でもなんかそんな感じのFOEがいるとかいないとか」「何、緑で光るとか?あのオレンジのもやもやの亜種かなん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:くら ジャンル:世界樹の迷宮 お題:強い男祭り! 制限時間:30分 読者:562 人 文字数:649字 お気に入り:0人
「アンタ達ソードマンは物理攻撃のスペシャリスト、って言われてるけれど。正直力はそう大した事無いわよね」 そう言ってのけた錬金術師はほんの数ヵ月前にゼブラテリウム 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:くら ジャンル:世界樹の迷宮 お題:赤い小説上達法 制限時間:30分 読者:545 人 文字数:784字 お気に入り:0人
「……日記?」 声をかけると少女の肩は異様なまでにはねあがった。何でこんな時間まで、だとか、健康に良くない、だとかを顔を真っ赤にして言う姿はかわいらしいとさえ思 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:くら ジャンル:世界樹の迷宮 お題:どす黒い豪雨 制限時間:30分 読者:582 人 文字数:488字 お気に入り:0人
エトリアにとって、雨はさほど重要なものではない。迷宮は地下へ地下へと続いていくからだ。しかも作物の大半は樹海産なので降らなかったとしても困りはしない。土地の場 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:くら ジャンル:世界樹の迷宮 お題:僕が愛した愉快犯 制限時間:30分 読者:487 人 文字数:501字 お気に入り:0人
(ソド兄×橙バドさんのような逆のような) 日が傾きかけたのはついさっきだった筈なのに、もうすっかり暗くなっていた。地上だからか、空は溢れんばかりの星が輝いている 〈続きを読む〉

光流の即興 二次小説


ユーザーアイコン
敬天愛人 ※未完
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:きちんとした愛人 制限時間:15分 読者:23 人 文字数:1031字 お気に入り:0人
彼女はいつだって礼儀正しくて、私とも仲良くしてくれた。家に来る時は手ぶらじゃなくて、みんなで食べようねってお菓子とか色々持ってきてくれたし、今までの女の人と違 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:汚い人々 制限時間:15分 読者:50 人 文字数:869字 お気に入り:0人
非道い人間というものはどこにでも存在するもので、私を両親の元から連れ出した男は特別非道い人間だった。 なにしろ、文字の読めない両親に支離滅裂な文章もどきを書い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:美しいブランド品 制限時間:30分 読者:79 人 文字数:1288字 お気に入り:0人
「これを。あとこれと、それにこれをもう一つ。あー、あと」「棚の端から端までお買い上げということで宜しいですか?」 ああともうんともつかない唸りを上げ、主がこめか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:楽しい母性 制限時間:30分 読者:84 人 文字数:1698字 お気に入り:0人
「美味しい?」 尋ねると、一心不乱にクッキーを咀嚼しながら少年がぷるぷると頭を上下に振る。膨らんだ頬は餌を溜め込んだリスによく似ていた。「そう」 美味くても不味 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:許されざる団欒 制限時間:30分 読者:75 人 文字数:1502字 お気に入り:0人
「えっと」 握り締めたコーヒーカップを持ち上げたくても腕が動かない。指先から冷たくなって、中に注がれた茶色液体が何なのかも分からなくなる。喉の奥が胃液の味でいっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:誰かと恋人 制限時間:30分 読者:53 人 文字数:1554字 お気に入り:0人
とにかく暇な日だった。世界の終わりが来るからみんな家に引きこもり愛する者と過ごしているために、こんな場末の食堂に足を運ばないんだと思いたくなるほど、暇だった。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:昼間の冬 制限時間:15分 読者:59 人 文字数:705字 お気に入り:0人
「寒い」 主が呟くと、尖らせた唇から真っ白な吐息が漏れた。零した八つ当たりは音もなく凍りつき、ふわりと空中に消えていく。 両腕の袖口に手首を突っ込み何とか暖を取 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:今年の善人 制限時間:1時間 読者:71 人 文字数:2118字 お気に入り:0人
奴隷という身の上に生まれてから、善人に分類される人間に出会ったことなどなかった。 善人、善良で心穏やかで誰に対しても優しく接する聖人。果たしてそんな生き物がこ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:女の夕日 制限時間:2時間 読者:68 人 文字数:2307字 お気に入り:0人
日没が沈む瞬間が好きだ。 水平線が深い紺色から目に沁みる色鮮やかな橙色にグラデーションを作り、その中心に煌々と輝く太陽が鎮座する。 涙が滲むのも構わずに夕日を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:光流 ジャンル:世界樹の迷宮 お題:コーヒーと悪魔 制限時間:1時間 読者:74 人 文字数:2653字 お気に入り:0人
「コーヒー三つ!」「飲めないだろう」「でも、今日は飲める気がする」 目を陽光にキラキラ輝かせ小人が唸る。 謎の自信に溢れた眼差しは、真っ直ぐにメニューに書かれた 〈続きを読む〉