ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:思い出の愉快犯 必須要素:日本人使用不可 制限時間:30分 読者:131 人 文字数:1483字 お気に入り:1人

サプライズ!

コン、コン、コン、コン。ゆっくりとした4回のノックは、敵ではないことを表すための合図のノック。
「——入れ」
がちゃり、とノブを回し入ってきたのは、ずいぶんと雰囲気がやわらかくなった弟子だった。
「……はぁい、師匠。お久しぶり」
「久しいな。日本での生活はどうだ? 仕事には慣れたか?」
「ええ、おかげさまで」
「で、今日はなんの用だ」
「それはね——」

にこにこと笑顔をたたえたまま、イリーナは黒い銃をロヴロに向けた。
「……なんの真似だ」
「実はね、師匠にびっくりしてもらおうと思って」
「ほう。それでその趣向か。悪趣味だな」
「日本でタダオミにいろいろと鍛え直してもらってね、銃の扱いも結構レベルアップしたの。試してみる?」
「そうは言ってもまだお前の実力は、俺の実力からは遠く及ばないだろう」
「そうなのよね、それは理解してるわ。だから、またもう少し考えたの。どうすれば一番師匠が驚いてくれるかって」
「その結論は出たのか?」
「ええ。——確かに師匠を撃とうとしても、すぐに止められてしまうでしょう。でも、これなら?」

そう言うと、イリーナは持っている銃の銃口をくるりと自分に向けて、がちりと撃鉄を起こした。
「お、おい——!」
慌ててイリーナに駆け寄るロヴロに、イリーナはさらにニヤリと笑みを浮かべ、銃口を再びそちらに向ける。ロヴロの顔が驚愕に引きつった、次の瞬間——。


ぽんっ。

いささか間抜けな音と共に、銃口から飛び出したのは万国旗と紙テープ。
うぷ、と堪えていた息がイリーナの口から漏れて、次の瞬間イリーナは爆発するように大声で笑い出した。
「あははははは! し、師匠から一本とれた! やったあ!」
「……なんの真似だ」
「ふ、昔に師匠にやろうとして、直前で失敗して、大目玉喰らったイタズラのリベンジをしようと思って。うぷぷぷ」
「……ああ、そんなこともあったな」


イリーナがかつてこの家にやってきて、それなりに慣れてきて笑顔も見せるようになった頃。
おもちゃのクラッカーを手に、クローゼットに隠れてロヴロを驚かそうとしたイリーナは、うっかりクローゼットの中で眠ってしまい、イタズラを披露する間もなくロヴロに見つかって大目玉を喰らったのだ。
同じような侵入方法で暗殺をすることがあるかもしれないのに、ターゲットを目の前に寝るとは何事だ——そんな、明らかに父から子へとはなされないような怒られ方をされて、「怒られた」という事実以上にイリーナは悲しくなってしまった。そんな苦い思い出。
ロヴロもロヴロで、そのあとからイリーナの態度が明らかにギクシャクするようになってしまい、叱るにしてももう少しマシな叱り方があったはずだ、とオリガに諭された、そんな苦い思い出になった出来事だった。ロヴロの顔にも、思わず苦笑いが浮かぶ。

「……で、そんな子供の頃のイタズラをやり直すためだけに、お前はここにやって来たのか? 違うだろう? Mr.カラスマから聞いているぞ、仕事の話があると」
「そうそう、仕事の話。でもね、実はもうひとつ、サプライズがあるのよ」
「なんだ、また何かあるのか。クラッカーは掃除が大変だから、もう勘弁してほしいんだが」
「あ、あのね。……実はね……」
先程ロヴロを驚かせた銃型のクラッカーの先から出ている万国旗を、もじもじと恥ずかしそうに弄りながら、イリーナは一度俯いた。
真っ赤な頬とどこか幼い表情は、この家にきて笑顔を取り戻したばかりの頃の幼いイリーナを思い出させる。




「……あたしね、カラスマと結婚することにしたの」

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