ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:思い出の愉快犯 必須要素:日本人使用不可 制限時間:30分 読者:54 人 文字数:1483字 お気に入り:1人

サプライズ!

コン、コン、コン、コン。ゆっくりとした4回のノックは、敵ではないことを表すための合図のノック。
「——入れ」
がちゃり、とノブを回し入ってきたのは、ずいぶんと雰囲気がやわらかくなった弟子だった。
「……はぁい、師匠。お久しぶり」
「久しいな。日本での生活はどうだ? 仕事には慣れたか?」
「ええ、おかげさまで」
「で、今日はなんの用だ」
「それはね——」

にこにこと笑顔をたたえたまま、イリーナは黒い銃をロヴロに向けた。
「……なんの真似だ」
「実はね、師匠にびっくりしてもらおうと思って」
「ほう。それでその趣向か。悪趣味だな」
「日本でタダオミにいろいろと鍛え直してもらってね、銃の扱いも結構レベルアップしたの。試してみる?」
「そうは言ってもまだお前の実力は、俺の実力からは遠く及ばないだろう」
「そうなのよね、それは理解してるわ。だから、またもう少し考えたの。どうすれば一番師匠が驚いてくれるかって」
「その結論は出たのか?」
「ええ。——確かに師匠を撃とうとしても、すぐに止められてしまうでしょう。でも、これなら?」

そう言うと、イリーナは持っている銃の銃口をくるりと自分に向けて、がちりと撃鉄を起こした。
「お、おい——!」
慌ててイリーナに駆け寄るロヴロに、イリーナはさらにニヤリと笑みを浮かべ、銃口を再びそちらに向ける。ロヴロの顔が驚愕に引きつった、次の瞬間——。


ぽんっ。

いささか間抜けな音と共に、銃口から飛び出したのは万国旗と紙テープ。
うぷ、と堪えていた息がイリーナの口から漏れて、次の瞬間イリーナは爆発するように大声で笑い出した。
「あははははは! し、師匠から一本とれた! やったあ!」
「……なんの真似だ」
「ふ、昔に師匠にやろうとして、直前で失敗して、大目玉喰らったイタズラのリベンジをしようと思って。うぷぷぷ」
「……ああ、そんなこともあったな」


イリーナがかつてこの家にやってきて、それなりに慣れてきて笑顔も見せるようになった頃。
おもちゃのクラッカーを手に、クローゼットに隠れてロヴロを驚かそうとしたイリーナは、うっかりクローゼットの中で眠ってしまい、イタズラを披露する間もなくロヴロに見つかって大目玉を喰らったのだ。
同じような侵入方法で暗殺をすることがあるかもしれないのに、ターゲットを目の前に寝るとは何事だ——そんな、明らかに父から子へとはなされないような怒られ方をされて、「怒られた」という事実以上にイリーナは悲しくなってしまった。そんな苦い思い出。
ロヴロもロヴロで、そのあとからイリーナの態度が明らかにギクシャクするようになってしまい、叱るにしてももう少しマシな叱り方があったはずだ、とオリガに諭された、そんな苦い思い出になった出来事だった。ロヴロの顔にも、思わず苦笑いが浮かぶ。

「……で、そんな子供の頃のイタズラをやり直すためだけに、お前はここにやって来たのか? 違うだろう? Mr.カラスマから聞いているぞ、仕事の話があると」
「そうそう、仕事の話。でもね、実はもうひとつ、サプライズがあるのよ」
「なんだ、また何かあるのか。クラッカーは掃除が大変だから、もう勘弁してほしいんだが」
「あ、あのね。……実はね……」
先程ロヴロを驚かせた銃型のクラッカーの先から出ている万国旗を、もじもじと恥ずかしそうに弄りながら、イリーナは一度俯いた。
真っ赤な頬とどこか幼い表情は、この家にきて笑顔を取り戻したばかりの頃の幼いイリーナを思い出させる。




「……あたしね、カラスマと結婚することにしたの」

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:アルパカの慰め 制限時間:30分 読者:62 人 文字数:1411字 お気に入り:0人
まるで敵のいない野っ原に放り出された草食動物みたいに、クッションを抱えてソファに座り、どこでもない虚空を見つめてぼうっとしているものだから、烏間は思わず心配にな 〈続きを読む〉

からいりくじらの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:犯人はユートピア 制限時間:30分 読者:14 人 文字数:1689字 お気に入り:0人
『はい、烏間です。ただいま電話に出ることが出来ません。大変お手数ですが、発信音の後にお名前・ご用件・ご連絡先をお伝え下さい。こちらから折り返しご連絡させて頂きま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:許せない湖 制限時間:30分 読者:38 人 文字数:1528字 お気に入り:0人
「からすまのっ、ばかー!!」「あんたにとってっ、こいびとって一体っ、どーゆー相手のことだってゆーのよーっ!!」「仕事が忙しいのもわかるけどっ、それにしたってっ、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:淡い錬金術 制限時間:30分 読者:41 人 文字数:1081字 お気に入り:0人
にこにこと満面の笑みを浮かべる女に対して、隣の男はどうにも居心地が悪い、という顔をしている。黒スーツにきっちり着込んだワイシャツという格好、そして苦虫を噛み潰し 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:潔白な血痕 制限時間:30分 読者:47 人 文字数:1321字 お気に入り:0人
ちょっとしくじっちゃった。そう言ってイリーナは、調査室の面々が切れた盗聴器の音声を前に険しい顔を並べていた控え室の扉を、何事もなかったかのように開けて入ってきた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:うるさい音楽 制限時間:30分 読者:41 人 文字数:935字 お気に入り:0人
頭の中を音楽がぐるぐる回っている。タイトルも知らない、歌手さえも知らない曲が。機嫌のいいとき、イリーナがいつもその歌を口ずさんでいたから、烏間はこの曲を知ってい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:東京小説 制限時間:30分 読者:41 人 文字数:1321字 お気に入り:0人
東京、という都市の名前は聞いたことがある。過去に日本語の習得のため、そこにある程度滞在し、「ケンジ」という名前の男を恋人にしたことがあったし、暗殺のためにも何度 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 お題:少年の宴 制限時間:30分 読者:53 人 文字数:1056字 お気に入り:0人
「……まだ帰ってなかったのか?」「あ、やべ」「烏間せんせー……」「え、もうこんな時間!?」施錠のために各教室を見回りに出かけた烏間が、E組の教室で見かけたもの。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:俺と喜劇 制限時間:30分 読者:56 人 文字数:1227字 お気に入り:0人
人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇だ。そんな言葉がある。たしかにそれはそうかもしれない、と、おれは時々「同僚」たちを見ながらそう思う。もとは人間だっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:かっこいい階段 制限時間:30分 読者:48 人 文字数:1652字 お気に入り:0人
一段一段、踏みしめてのぼっていく。のぼりつめていく。あたしはその背中を眩しく見つめながら、そしてその背中を守るように寄り添いながら、時に力を失いそうになったその 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:天才の姫君 制限時間:30分 読者:52 人 文字数:1631字 お気に入り:0人
天才という言葉がきらいだ、という人がいる。今自分に備わっている実力はすべて「天」とかいうよくわからないものから与えられたもので、そこに自分自身の努力とか、そんな 〈続きを読む〉