ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:興奮した暴走 制限時間:30分 読者:141 人 文字数:1059字 お気に入り:1人

真夜中の約束

「ちょ、カラスマっ、待ってまって!」
イリーナの焦った声に烏間がふと我にかえると、やけに静まり返った応接室にイリーナの声がうわん、と響いたような気がした。昼間とはまったく異質の、喧騒から解き放たれ、静まり返った深夜の防衛省。
ぱちり、と一度瞬きをすると、烏間は改めて自分の今の状況を確認し直す。硬い革張りのソファの感触は、ここ最近の烏間の寝床がわりのもの。自分を覗き込むイリーナの顔はわずかに赤らんでおり、胸元のボタンがいつもより多く開け放たれている。なんだもっときちんとボタンをしろ、と言おうとして、烏間の顔も途端に朱に染まった。
——そのボタンを開けたのは自分だ、ということを思い出したからだ。

「……目、醒めたかしら。『室長』」
「……醒めた。すまん」
頬を赤らめたまま、烏間に開けられたボタンをぷちぷちと閉めなおすイリーナを横目で見ながら、烏間は照れ隠しにがしがしと頭を掻いた。そろそろ家の風呂にもゆっくり入りたいところだが、あと1・2日は省内にあるシャワールームで我慢しなければならなそうだ。
「えっと、着替えと差し入れ持ってきたの。今はみんな仮眠してる最中なんだったら、朝ごはんにでも食べて」
「そうだな、何人かは自宅に戻るように指示を出したが、まだ数人は仕事中だったり仮眠中だったり、だ。——有り難く頂いておく」
「……あんたは自宅にはまだ戻れないのね?」
「……そうだな。まだもう少しかかりそうだ。すまん」
「そうねー。新妻をおいて仕事場にこもりっきりって、離婚事由にされても文句は言えないわよ?」
「……すまん」
革張りのソファにちょこんと座り、根を詰めた作業が続いているからかどこか弱ったような様子の烏間をちらりと見やると、イリーナは烏間の横にわざとオーバーに座った。スプリングの振動が烏間の体も揺らす。
「……でも、ね」
烏間の肩に頭をぽふんと載せて、少し声を潜めてイリーナは続ける。
「……寝ぼけてあたしを襲っちゃうぐらいには、あんたもイロイロ溜まってるんだってことがわかったから良かったわ」
「……」
むう、と唇を曲げて、がしがしと頭を掻いて、烏間も声を潜めてそれに答えた。
「……自宅に戻りたいのは山々なんだ。だが、新米室長としてはここが踏ん張りどきだからな」
「そうね」
「だから、……」
少し言葉を切って、烏間もイリーナの方に少しもたれかかった。イリーナの口元に小さく笑みがこぼれる。

「……自宅に戻れたら、改めて『続き』をさせてほしい」
「……楽しみにしてるわね、『だんなさま』」

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:アルパカの慰め 制限時間:30分 読者:174 人 文字数:1411字 お気に入り:0人
まるで敵のいない野っ原に放り出された草食動物みたいに、クッションを抱えてソファに座り、どこでもない虚空を見つめてぼうっとしているものだから、烏間は思わず心配にな 〈続きを読む〉

からいりくじらの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:ラストは男祭り! 制限時間:30分 読者:118 人 文字数:1463字 お気に入り:0人
「いやー、やっぱああいう血湧き肉躍る競技は男子の専売だねぇ。超興奮しちゃった!」体育祭の棒倒しが終わり、閉会式も終えて。校庭のパイプ椅子を片付けながら、興奮気味 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:輝く悪 制限時間:30分 読者:109 人 文字数:2080字 お気に入り:0人
「カラスマってさ、この世には絶対的な正義みたいなものがあって、自分は何があってもそっちサイドですって顔をしてること、ない?」あたし、自分を使うオトコの実力を見極 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:元気な故郷 制限時間:30分 読者:109 人 文字数:1965字 お気に入り:0人
殺気を感じて立ち止まると、すぐ横のコンクリートブロックの塀に、ビシッと音を立ててペイント弾が命中した。気付かずそのまま歩いていたらば、ちょうど烏間のこめかみに命 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:進撃の内側 制限時間:30分 読者:130 人 文字数:1929字 お気に入り:0人
「……で? なんだコレは」「なにって、ランジェリー」「おれには紐にしか見えん」「えー。この繊細なレース使いがわかんないなんて、どんだけ朴念仁なのよカラスマぁ」烏 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:悔しい男 制限時間:30分 読者:133 人 文字数:1553字 お気に入り:0人
持ち帰りの仕事がようやくひと段落ついて、烏間がようやくベッドにやってきた時。彼の恋人であるイリーナ・イェラビッチは、いつもの「この衣服には一体どこを保護する目的 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:失敗の食卓 制限時間:30分 読者:119 人 文字数:1699字 お気に入り:0人
熱で浮かされた頭に、おずおずと濡れタオルが乗せられた感触。その心地よさにふっと目を開けると、あまり見ない驚いた顔の烏間がそこにいた。「……すまん。冷たかったか」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:真実の血液 制限時間:30分 読者:130 人 文字数:1504字 お気に入り:0人
「——時々不思議になるのよねえ」熱心に砂場で「おしろ」を作り続ける娘をぼんやりと眺めながら、木陰でイリーナは呟く。「なにがだ」吹き抜ける風の心地よさに目をつぶり 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:突然の宇宙 制限時間:30分 読者:127 人 文字数:2018字 お気に入り:0人
「ねぇんカラスマ――」「甘えた声を出そうが、ダメなものはダメだ」「……ちっ」先ほどからさんざ「授業なんかかったるい」「やってられない」「そもそも教師なんかやった 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:幼い土地 制限時間:30分 読者:117 人 文字数:1505字 お気に入り:0人
「人を育てる——……か」生徒たちの乗ったバスを見送ったイリーナが、ぽつりと呟いた。「あいつからのアドバイスブックにあった言葉、か」吹けば飛びそうなほどに小さな言 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:俺と霧 制限時間:30分 読者:115 人 文字数:1517字 お気に入り:0人
複雑なようでいて、単純で、だけど複雑。イリーナ・イエラビッチという女は、おれにとってはそうとしか言いようのない性格をしていた。「もー、まぁた雨!? もう雨はいい 〈続きを読む〉