ジャンル:おそ松さん お題:君と夢 制限時間:15分 読者:52 人 文字数:871字 お気に入り:0人
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おそ松さん

夢を見た。酷く息苦しい夢だった。松野おそ松は深い眠りから意識を取り戻し、やけに目に染みるいつもの薄暗い天井を見てため息を吐く。体は汗でぐっしょり濡れていて、目元を擦ると水滴が人差し指に線を描いた。涙か汗か。松野おそ松はしれが汗だと言い聞かせてもう一度長い息を吐きながら目を閉じた。その夢は決して居心地の良いものではなかった。自分の弟たちが自分から離れてしまう夢。互いが自身の夢を胸に別々の方へ歩いていき、その笑顔は輝かしいものだった。さて、自分も自分の道を歩もうと歩き出そうとした瞬間、自分には夢も何もないことに唐突に気づいてしまったのだ。自分には人に語れるような夢はなく、いつもの6人で馬鹿を続けていられるのが夢なのだとその時初めて気づいた。小さくなっていく背中は消して松野おそ松の方を振り向くことなく、軽やかな足で光ある方へ進んで行く。そんな弟たちを止めたくて声を張り上げた。一瞬だけこちらをみた弟たちはおそ松を軽蔑するような視線を寄越し、速足で歩いて行ってしまう。嫌だ、待ってくれ。我武者羅にそう叫び、自分だけが暗闇に飲み込まれていく、そんな夢だった。一度目を覚ましてしまったことにより瞼が重くなることはない。やけにハッキリとした意識が今は憎かった。酷く喉が渇き、起き上がろうとしたその瞬間両サイドでも同じような動きがあった。隣で寝ていた兄弟も同時に起き上がっていたのだ。暗がりの中、かける言葉も見つからず互いに見つめあった。その体は硬直し、クーラーが付いているというのに額に汗で前髪が張り付いている。怖い夢を見た、とトド松が掠れた声で呟いた。隠す気はないのか、その目には涙が溜まっている。さすが六つ子だとおそ松は思った。同じような類の夢を見たのだろう。どんな夢?と十四松が汗を拭いながら聞いた。僕も怖い夢を見た。と十四松は笑みを浮かべながら付け加える。

「バイト先に兄さんたちが来て脱糞する夢」
「そっか、僕は野球ボールになっておっさんのケツの穴に入る夢を見た」

_____俺たち六つ子。似ているようで似ていない、それが俺たち。

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