ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:恥ずかしい運命 制限時間:30分 読者:141 人 文字数:1594字 お気に入り:0人

※このあとおいしくいただかれました

たぶん過去最高にきっぱりとした覚醒をした。うっかりうたた寝をしてしまったソファからガバリと身を起こし、瞬間的に時計を見る。
——19時半。カラスマがやってくると言っていた時間まで、あと30分。

「あと、30分……」
状況をきちんと認識するように、きっちりとそれを言葉にもした。顔からさーっと血の気が引く感覚がしたが、それに構ってはいられない。
「えっと、何やろうと思ってたんだっけ」
この前奇跡的にお付き合いとゆーものを始めることになったあたしとカラスマは、あたしにしては珍しくと言うべきか、カラスマらしいと言うべきか、まだセックスをしていない。あたしとしては早くそーいう流れになりたくてたまらない反面、この前交わした軽いキスだけで信じられないぐらいヘロヘロのメロメロになってしまったから、これ以上してしまうと一体どうなってしまうんだろう、という恐怖と期待みたいなものが心の中を占めていて、キスをしてからというもの、あたしの精神状態というか、心的状況というか、とにかくそれはしっちゃかめっちゃかで、ずっと嵐の中にいるような状態だった。
そんなあたしの状況を知ってか知らずか、今日デートのお誘いをかけたら速攻で「仕事だ」と断ってきたカラスマは、むくれるあたしにこう言ってきたのだ。
「……だが、仕事終わりなら多少時間が取れるだろう。何時に終わるかわからないから、お前の家に行っていいか?」



これはもう。そりゃあもう。ヤるしかない流れ、だ。
その予定を決めた日から、あたしは計画を練りに練った。カラスマを手料理でもてなして、映画観ましょ、とか言って引き止めて、それでいい感じのムードを作って、ワインとかあけちゃって、酔っ払わせて、それから——。
計画を立てた後は入念な準備だ。部屋のレイアウトを一新するぐらいの勢いで掃除をして、模様替えをして、手料理の内容を決め、何回かシミュレーションのために作って最善の味を研究し、それとなくリサーチをして好きそうなワインの銘柄を選び、もちろん数本の中から試飲をして銘柄を決めて、それに合うおつまみもいくつか研究して試食して、それから、それから——。
当日の動き方まで何度かシミュレートをしたぐらい、完璧だった。計画、は。

前日の準備が間に合わなくて少し夜更かしをしてしまい、これはいけないお肌が微妙だわ、そうだ軽く仮眠を取ろう——とソファに横になったのが運の尽きだ。仮眠が本気寝になってしまい、あたしは2時間ぐらい準備の時間をフイにしてしまった。

いけない、落ち着いてイリーナ・イェラビッチ。計画に狂いが生じるのは、どんな時でもありうる事だわ。そして、今までどんなに計画に狂いが生じてしまったとしても、その場の機転で切り抜けてきたじゃない。
——料理……は、下ごしらえは済ませて冷蔵庫に入れてある。ハンバーグ、ポトフ、サラダに昨日焼いたパン。ポトフはすでに完成させてあるし、ハンバーグは成型まで済んでいる。ソースはそんなに時間がかからないけど……そうだ、サラダ用の野菜を切らなくては。慌ててエプロンをして、台所へと向かう。ああ、洋服も部屋着のままだし、お化粧もまだきちんとできてない。野菜を切ってから、それから一度軽くシャワーを浴びて、身支度をしよう。

なんて考えて、冷蔵庫からきゅうりを取り出したところで、ピンポーンとチャイムが鳴った。
そういえばワインは重たいから宅配を頼んでいたんだった。それがやってきたんだろう。はあい、と声をあげ、スリッパをパタパタ鳴らして玄関へと向かう。



その時のあたしは気づいていない。仮眠を取る前、顔にパックをしていたことを。
そしてその時やってきたのは宅配サービスの配達員ではなく、がんばって仕事を早く切り上げて、あたしを驚かすためにちょっと早くやってきた、ケーキを携えたカラスマだったということを。

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