ジャンル:東方Project お題:春の百合 必須要素:バツ印 制限時間:15分 読者:63 人 文字数:794字 お気に入り:0人
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時間制限に苦しめられつつ書いたまりあり



 
 
 春である。
 陽はさんさんと幻想郷を全域に渡って柔らかに照らしており、小鳥たちは朝っぱらから元気いっぱい飛んで鳴いており、凍えるような寒さを耐え抜いた植物たちが、元気に伸びた姿を見せている。
 そんな光景を見て、やはりアリス・マーガトロイドは思う。

 ――ああ、今年も来てしまったのか、と。

 そんな気持ちが浮かんできたのを、上海人形が入れた紅茶と一緒に飲み干す。
 思っていた以上に美味しくて、ほう、と息をついた。なんせこの紅茶、人騒がせな魔法使いが珍しく人里のお土産だと言って半ば無理やりに置いて行った代物である。どんなゲテモノなのかと内心腹を決めつつ飲んだのだが、これは次に会う時には詫びの品の一つでも持っていくべきか。

 思考が、少しばかり逸れた。
 何もアリスとて、春が嫌いなわけではないのだ。ほんのり暖かくて、けれど夜には涼しい夜風を吹かせてくれる。植物は伸び伸びと育つし、アリスの友人たちだって、比較的冬よりも春の方が外出が多い傾向にある。偶然ばったり出くわして、そこで何でもない世間話をする時間がアリスは好きだ。 
 しかして、この季節に一体、どこに嫌う要素があるだろうか。
 少なくとも、最近まではそうだった。
 
「はぁ......」

 カレンダーの日付に、控えめな罰印を付ける。今日も含め、これで五日連続になる印。
 そんな様子を興味深そうに覗く上海を手元へ寄せながら、アリスは呟く。

「魔理沙ったら、もうなんでこんなにここに来てくれないのかしら」

 人騒がせな魔法使いこと霧雨魔理沙は、もう五日も続いて、アリス亭を訪れていない。
 そんな些細な事実が、アリスにはもうむずがゆくて何とも言えない気持ちで一杯なのだ。

 そうだ、と思う。

 行かないのなら、こちらから――。

「上海、行くよ!」

 お土産でも、持っていこう。




 

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