ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:アルパカの慰め 制限時間:30分 読者:227 人 文字数:1411字 お気に入り:0人
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動物園に行こう

まるで敵のいない野っ原に放り出された草食動物みたいに、クッションを抱えてソファに座り、どこでもない虚空を見つめてぼうっとしているものだから、烏間は思わず心配になって声をかけた。
「……おい、大丈夫か?」
途端に意識を取り戻したようにぱちぱちと瞬きを繰り返し、イリーナは慌てて烏間の方を向いた。「な、何?」
「いや……用があるわけじゃないんだが、なんだか呆けていたからな。疲れてるのか? 疲れてるなら早めに風呂に入って、早く寝た方がいい」
「あ、うん……疲れてるっていうか、……疲れてるのかな……」
どこか照れたようにぽりぽりと頬をかいて、イリーナは抱きしめたままのクッションに視線を落とす。
「……まあ、疲れていても無理はないだろう。デスクワークに、馴染みのない上司部下という関係性に、今までやったこともない仕事、まだ一年ちょっとしか住んだことのない国。そんなものに囲まれて、疲労を覚えないほうがおかしい」
いたわるような優しい口調でそう言いながら、烏間はイリーナの横に腰を下ろす。そんな烏間を見ながら、イリーナは小さくクスリと笑った。
「……めずらしく優しいのね、カラスマ」
「まあ、お前をその状況に放り込んだのは、他ならぬおれだからな。……辛いか?」
「ううん。大変だけど楽しいわ。だけど……やっぱり時々、こうしてぼんやりしちゃうのよね」
烏間の肩に頭をぽすんと預けると、イリーナはふう、と小さくため息をついて話を続けた。
「新しい仕事には戸惑うことも多いけど、でも嬉しいし、楽しい。……時々、手際の悪さとかで迷惑かけちゃったりしてるのが、歯がゆいけど」
「最初から完璧にできるヤツはいない。徐々に慣れていけばいい話だし、お前は良くやっている」
「こ、恋人とドーセイってゆーのもはじめてだから、いろんなことがこれでいいのかなって不安になったりもするし」
「それはおれも似たようなもんだ」
「なんか、この一年足らずで自分の身の回りがびっくりするぐらい変わっちゃったから——どっかで『これは全部ウソでした』って、神さまとかに言われちゃったりしないかなってちょっと、不安になったりとか」
「そんなドッキリはおれも嫌だな」
「なんか、そーいういろんなことが頭の中でグルグルして、なんにも考えられなくなって——つい、ぼうっとしちゃうの」

イリーナはそう言って少し不安そうな表情を浮かべる。
「……そういう、なんにも考えない時間っていうのも、必要なんじゃないのか?」
「え?」
「なにかを警戒していなくてもいい、不安に怯えなくてもいい時間を過ごしていても大丈夫だというのは、ある意味平和の象徴みたいなもんだと思うが」
「……そう言われれば、そうかもしれない、けど」
「お前は今までそういう、ぼーっとした時間を過ごしてこなかったから、その時間に焦燥を覚えるのかもしれない。だが、たまにはそういう時間を楽しむのもいいもんだと思うがな」
「……そう、なの、かな」

まだ少し戸惑いを見せるイリーナに、烏間はかすかに笑いかける。
「……海でも行くか。それで、なにをするでもなくボーッとしてみればいい」
「え?」
「動物園とかでもいいぞ。ただ動物を眺めて、ボーッとするのもいい」
「……それって、デートのお誘い?」
「まあ、そんな感じか」

イリーナは少し頬を赤らめて、烏間の裾を引く。
「ねえカラスマ。ならあたし、アルパカ見に行きたい」

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