ジャンル:東方Project お題:愛の経験 必須要素:繊細な心理描写 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:1049字 お気に入り:0人

恋愛経験のない蓬莱人 ※未完






 人間という生き物は、その命の灯火が灯ってから、やがてその寿命が尽きるまでの短い時間の中で――彼らからすればとても長い長い期間なのだけど、寿命の長い妖怪からすれば瞬きするのと同義だ――非常に数多くのことを経験する。生まれて初めての世界を見たり、知らない常識を学んだり、時には楽しいことや悲しいことも、全てが彼らの記憶に刻み込まれる。
 そうした人生を経て、人間たちは成長してきたのだ。僅か百年にも満たないその人生経験の記憶と経験だけで、彼らは自らよりも遥かに強い身体を持つ妖怪たちと渡り合ってきたのだ。

 だから、きっと。
 百年どころではなく、二百年三百年――。ともすれば、それよりも更なる時間の流れを乗り越えた人間がいるとしたら。


 その人物は、数多の人間や妖怪もビックリの経験豊富な者、ということに、なるのかもしれない。






 

 藤原妹紅は、どれだけ時が移ろうとも体が朽ち果てようとも、その命が燃え尽きることはない。――否、燃え尽きさせてはくれない『不老不死』の肉体を持つ、蓬莱人である。一体なぜ、そんな体になってしまったのかと。そう問われることは今まで多々あったけれど、妹紅がそれに事細かく答えたことは無い。ただの一度も、無い。妹紅当人としては思い出したくもないし、考えたくもないからだ。
 そもそも、あまりにくだらない自己満足と、その場しのぎの優越感。加えてその後のことを考えないあまりに稚拙で幼稚な自分のことなど、一体どうして思い起こしたくもなろうか。
 ああ、ぶん殴ってやりたい。

「......ふーー」

 どうにもむしゃくしゃしてきた頭の中を、吐息にして全部吐き出す。
 少し楽になった気がしてきた。これなら集中できるなと考えつつ、手元の本を手に取った。

 この前永遠亭まで案内をした人里の青年が、お礼にと寄越してくれた一冊である。妖怪の少女と人間の青年が出会い、親しくなり、そして多くの弊害を乗り越えながら恋仲となるまでを描く――、というものらしい。読む前にネタバレというのは如何なものかと考えていた、そんな妹紅だけれど。驚くことに、この小説、話と文章、そしてそれらで紡がれる世界観にグイグイと引き込まれていくのだ。
 正直、めちゃくちゃ面白い。

 ページを閉じ、
 吐息、

「......はあ、恋、してみたいなあ」

 
 これまで、何年何百年と生きてきた妹紅だけれど、恋というものは全く持って経験したことが無いのだ
 





 
 

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