ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:犯人はユートピア 制限時間:30分 読者:67 人 文字数:1689字 お気に入り:0人

※烏間家の本日の営業は終了しました※

『はい、烏間です。ただいま電話に出ることが出来ません。大変お手数ですが、発信音の後にお名前・ご用件・ご連絡先をお伝え下さい。こちらから折り返しご連絡させて頂きます』

普段よりも硬めの声色で吹き込まれた、烏間の留守番電話メッセージ。その後に電話から聞こえる、ぴーっという無機質な発信音。むう、と唇を曲げて、鶴田は機嫌を伺うように恐る恐る口を開いた。
「……鶴田です、すみません。またこちらから掛け直します」

終話ボタンを押して、鶴田はガリガリと頭をかいた。まぁ期待してないけどねー、たぶん結果は同じだよねー、とぶつぶつ呟きながら、鶴田は電話帳の「烏間惟臣」のすぐ上に登録されている人物に電話をかける。

『はい、烏間・イリーナです、お電話ありがとう。今電話に出られないので、メッセージをどうぞ』
ぴーっ、と再びの無機質な発信音。だよねーやっぱそうだよねーと頭の中で呟きながら、鶴田はもう一度伝言を吹き込む。
「……ええと、鶴田です。イリーナちゃん、そっちに烏間さんっている? えっと、また電話します」

はあー、とため息をついて終話ボタンを押してから、30秒も経たずにイリーナから折り返しの電話がきた。
あまりの素早さにうわわ、と慌てながら、鶴田は画面をタップし通話状態にする。

『はぁい鶴田』
「い、イリーナちゃん折り返しありがと。あのさ、イリーナちゃんって今自宅だよね? 今日代休だったし」
『ええ、自宅のベッドで惰眠を貪ってるところよ』
「あのさ、烏間さんって……」
『カラスマならあたしの隣で寝てるわ』
「え」
イリーナの後ろで烏間が何やら怒鳴る声が聞こえる。おそらく、誤解を招くようなことを言うなとか、表現方法に語弊があるとか、そんなことを言ったのだろう。
「えっと、烏間さんは今日はふつうに出勤日だったはずなんだけど」
『ええ、知ってるわよ?』
「そしてあと30分で会議の予定なんだけど」
『ええ、それも知ってるわ。カラスマがいてもいなくても、どっちでもいいようなくっだらないヤツがひとつ』
「えーと、烏間さんは……」
『カラスマは40度の高熱を出して家で伏せってます、とか言っといて』
「え! そんな高熱が!?」
『やあね、嘘よ嘘。嘘も方便てやつ』
「あ、そ、そうだよね。烏間さんがそんな急激に体調崩すとか、ないよね……」
『ええ。でも、いくらカラスマが丈夫だからって、みぃんなカラスマを酷使しすぎよ。あたしの今日の代休は、この前土日にやったミッションの振替だってのに、その作戦の指揮取ってたカラスマは休み取ってないってどーいうことよ。おかしいじゃない。ブラックよブラック!』
「えーと、烏間さんは一応役付きだから、僕らとは休みとかの事情が違う……」
『だとしても! カラスマ、これで一体何連勤してると思ってるのよ! 倒れちゃうわよ!? これ以上夫婦のイチャつきの時間を短縮させて、離婚危機に追い込んだらあたし防衛省を訴えてやるんだから!』
「あはは、どう考えてもそれがメインの理由だね、イリーナちゃん……」
『あったりまえよ! 今日で一週間ぶんくらいのイチャイチャらぶらぶタイムを取り戻してやるんだから! だから、今日はもう邪魔しないでよね、他のメンバーにも伝えておいてっ! よろしくねっ鶴田!』
鼻息荒く、でもどこかウキウキした様子は隠しきれない様子で、イリーナは電話を切った。


ツー、ツーと切れた電話を前に、鶴田は再びぽりぽりと頭をかく。
「……烏間さんは、夫婦でいちゃいちゃしたいから今日の会議はサボるそうです、とか、まあ言えるわけないよな……なんて言い訳しよう……」

あの烏間が、鬼の霍乱か、と言われるのを覚悟で、イリーナが言った通り「40度の熱を出した」と言うべきだろうか。
確かに最近の烏間は働きすぎだし、上層部も烏間を働かせすぎだ、とは鶴田も考えていたことだ。いくら超人でも限度があるということを、上層部は知るべきなのかもしれない。

「……ま、たまには夫婦のイチャイチャタイムに貢献しますか」
鶴田は小さくため息をついて、小さく笑った。

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