ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:自分の中の狸 制限時間:30分 読者:133 人 文字数:1323字 お気に入り:0人

狸寝入りの朝 ※未完

同棲を始めてからまず真っ先に覚えたもの。それはもしかしたら「狸寝入り」かもしれないと、烏間はふと考えた。


自分が、人の心の動きの機微とかを汲み取ることがあまり得意ではないタイプで、自分を「四角四面で付き合いづらい」と評価を下す人も存在している、ということはなんとなく知っている。それの対処法として、烏間は俯瞰でものごとを見ることを覚えた。
わいわいがやがやと賑やかな中心点から一歩身を引いて、その場の雰囲気やパワーバランスといった空気感を掴む。その上で、その場に参加するか否かを決める。対処法がわからないものは極力、わかるまで手を出さない。わからないものに対処しなければならない時はあくまで慎重に。それが烏間の、何十年か生きてきて身につけた処世術だ。

だが、この度同棲を開始したイリーナ・イェラビッチという烏間の彼女は、烏間から見るとバケモノじみたコミュニケーション・スキルを持っていた。
まったく事前知識のないような状態で相手の懐に飛び込み、気がつけば相手の興味関心を引きつけ、その場を掌握している。例えるなら装備ゼロで地雷原につっこみ、地雷を処理しいくつかは相手陣へ設置し直し、気がつけば形勢逆転させているぐらいのバケモノだ。
そんな彼女は最初、そのコミュニケーション能力の片鱗も感じさせないほどに、無防備に烏間の懐に入り込んできて、時に烏間の地雷を踏み抜き機嫌を悪くさせ、そのくせ地雷を踏み抜いてもなお、多少は傷ついた精神でまだこちらに向かってくるのだ。
そのゼロ距離なやり方に烏間はまず困惑し、距離を取ろうとして詰められ、何度も何度も「トムとジェリー」みたいな追いかけっこを繰り返し、諦めて懐にイリーナがいることを許す。
気がついたら懐にイリーナがいないと烏間も落ち着かなくなり、そして同棲に至る——という流れで、彼女は今ここにいる。


烏間は早起きだ。それは自衛隊勤めの時に矯正された自分の癖みたいなものだったが、さすがに休日はその癖もなりを潜める。
目は覚めてしまったが、まだ起きたくないときに、烏間は狸寝入りをはじめる。そんな狸寝入りをしている時にイリーナが目覚めた気配を感じても、烏間は狸寝入りを続けた。彼女のことだから、烏間が目覚めていると知れば「朝から一発」と意気込んでくるだろうと思ったからだ。セックスは嫌いではないが、あまりにその回数が多すぎると、いずれその道のプロであった彼女に「赤子扱い」の軍配があがるのではないかという危惧があったので、烏間はまだ様子見をしているところだった。

目覚めたらしきイリーナは、しばらく体を起こさないまま、ベッドの中で何やらもぞもぞと体を動かし始めた。
案外寝起きの悪い彼女は、今自分がどこにいるかを毎朝確認しないと気が済まないらしい。
ひとしきり「今、自分は烏間と一緒に寝ている」事実を確認したあと、イリーナは烏間の胸の中にふたたび飛び込む。
「……へへ」
心底嬉しそうに、照れ臭そうに笑って、よっし、と気合を入れる。晴れたー、と言いながら、彼女はベッドから身を起こした。多分これから洗濯をしにいくのだろう。幸せな休日の朝の

これがあるから、烏間は狸寝入りをやめられないのだ。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:アルパカの慰め 制限時間:30分 読者:174 人 文字数:1411字 お気に入り:0人
まるで敵のいない野っ原に放り出された草食動物みたいに、クッションを抱えてソファに座り、どこでもない虚空を見つめてぼうっとしているものだから、烏間は思わず心配にな 〈続きを読む〉

からいりくじらの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:ラストは男祭り! 制限時間:30分 読者:118 人 文字数:1463字 お気に入り:0人
「いやー、やっぱああいう血湧き肉躍る競技は男子の専売だねぇ。超興奮しちゃった!」体育祭の棒倒しが終わり、閉会式も終えて。校庭のパイプ椅子を片付けながら、興奮気味 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:輝く悪 制限時間:30分 読者:109 人 文字数:2080字 お気に入り:0人
「カラスマってさ、この世には絶対的な正義みたいなものがあって、自分は何があってもそっちサイドですって顔をしてること、ない?」あたし、自分を使うオトコの実力を見極 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:元気な故郷 制限時間:30分 読者:109 人 文字数:1965字 お気に入り:0人
殺気を感じて立ち止まると、すぐ横のコンクリートブロックの塀に、ビシッと音を立ててペイント弾が命中した。気付かずそのまま歩いていたらば、ちょうど烏間のこめかみに命 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:進撃の内側 制限時間:30分 読者:130 人 文字数:1929字 お気に入り:0人
「……で? なんだコレは」「なにって、ランジェリー」「おれには紐にしか見えん」「えー。この繊細なレース使いがわかんないなんて、どんだけ朴念仁なのよカラスマぁ」烏 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:悔しい男 制限時間:30分 読者:133 人 文字数:1553字 お気に入り:0人
持ち帰りの仕事がようやくひと段落ついて、烏間がようやくベッドにやってきた時。彼の恋人であるイリーナ・イェラビッチは、いつもの「この衣服には一体どこを保護する目的 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:失敗の食卓 制限時間:30分 読者:119 人 文字数:1699字 お気に入り:0人
熱で浮かされた頭に、おずおずと濡れタオルが乗せられた感触。その心地よさにふっと目を開けると、あまり見ない驚いた顔の烏間がそこにいた。「……すまん。冷たかったか」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:真実の血液 制限時間:30分 読者:130 人 文字数:1504字 お気に入り:0人
「——時々不思議になるのよねえ」熱心に砂場で「おしろ」を作り続ける娘をぼんやりと眺めながら、木陰でイリーナは呟く。「なにがだ」吹き抜ける風の心地よさに目をつぶり 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:突然の宇宙 制限時間:30分 読者:127 人 文字数:2018字 お気に入り:0人
「ねぇんカラスマ――」「甘えた声を出そうが、ダメなものはダメだ」「……ちっ」先ほどからさんざ「授業なんかかったるい」「やってられない」「そもそも教師なんかやった 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:幼い土地 制限時間:30分 読者:117 人 文字数:1505字 お気に入り:0人
「人を育てる——……か」生徒たちの乗ったバスを見送ったイリーナが、ぽつりと呟いた。「あいつからのアドバイスブックにあった言葉、か」吹けば飛びそうなほどに小さな言 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:俺と霧 制限時間:30分 読者:115 人 文字数:1517字 お気に入り:0人
複雑なようでいて、単純で、だけど複雑。イリーナ・イエラビッチという女は、おれにとってはそうとしか言いようのない性格をしていた。「もー、まぁた雨!? もう雨はいい 〈続きを読む〉