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三観を覗くもの

腕まくりをして、エプロンをつけて、ヨシッと一声。
今日も、この寮の料理番として腕を振るう。
冷蔵庫の食材を確認して、7人分の配分を考える。

帰ってくる順番から考えて、年少組に出せるものから作っていこう、などと頭の中でプランを組み立てる。
何気なく小さな頃から手伝いで培ったそういう感覚は、今別のところで役立つ根本になっていると思う。
トークの組み立て、番組の進行…意外とマルチタスクを要求されるMCという仕事は、
それなりの評価をもらえるまでになってきた。
ただ、いつでも「これでいいのか」って不安は頭をもたげる。

今回はこれでよかったかもしれないけど、あいつに助けられた、とか。
俺の力でよくなったわけじゃないかも、とか…。
ダンスが、歌が魅力的とか、そういう表立ったものじゃないからこそ、余計に。


「ミツキ、夕飯の支度ですか?」

「おっ、ナギ、ちょうどいいところに。ちょっとこの玉ねぎの皮剥いてくんね?」

「oh…目が合って喜んでくれるのではなく、働かざるモノ食うべからずの精神になるミツキはい嫌デース。」

「じゃあ自分で作るか?」


口を尖らせるのですら悔しいくらいのイケメンは何事(何語?)かを口にしながらも台所に来て玉ねぎを手に取る。
うん、なんかテレビ雑誌みたい。イケメンはずるい。


「ちなみに、今日の夕飯は何の予定デス?」

「んー、一応今の食材から考えてグラタンにでもしようかなって。
 今日はバラバラに帰ってくるはずだから、帰ってきた順に温められるものがいいだろうし。」


帰ってきて、温かい食事がある。
それだけで、疲れが取れるのが変わるだろうって思っている。
ナギはぺりぺりと玉ねぎを剥きながら、にこにこと笑って頷いた。


「ミツキは優しいですね。」

「そーか?まあ、俺はこういうの得意だし。みんなの役に立てるのってこれくらいかなって。」

「…それは違いますヨ、ミツキ。」


軽い自虐が漏れてしまったのを、ナギは聞き漏らさない。
しまった、と思ったけど、ナギの青い瞳が少し曇る。


「ミツキはもう、自分を責めるのはダメですよ、ワタシたちは、アイドリッシュセブン。
 チームなのです、ええと、イッシンドウタイです。ミツキがいなければ、アイドリッシュセブンはないのです。」


普段はここなだの、深夜アニメがどうこうで大騒ぎしたり、人の部屋を勝手にシアタールームに改造してたり、
フェミニストで女性とあれば口説きだすわ、突拍子もないことを言い出したりするこのイケメン。
でも、アイドリッシュセブンを愛してくれている、可愛いやつでもあるんだ。


「サンキュな。ナギ。お前のそういうとこ、すげえ助かってるよ。」


自分でも大嫌いな、嫉妬や卑屈のどろどろした塊は、いつでも俺の底にあって、
たまにそういうのが湧き出しては、俺を嫌な奴に染め上げようとする。
消すことは出来ないし、一人で押さえつけられるほどオレは強くない。
それを、みんなが抑えて、薄めて、光の下へ連れ出してくれる。

アイドリッシュセブンのメンバーでいていいって。
一緒に


「ミツキ、目が潤んでます。」

「これは玉ねぎが目に沁み…ってお前、玉ねぎ本体まで剥きだしてっから!無くなっちまうだろ!」


一心同体…言われて納得する。
「アイドリッシュセブンの和泉三月」は、王冠のように燦然と輝く、俺の大好きな呼び名だ。

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