ジャンル:アイドリッシュセブン お題:都会の敗北 制限時間:30分 読者:28 人 文字数:1591字 お気に入り:0人

四つに組む

移動手段は基本徒歩。
仕方ない、だってチャリンコもねーし、バイクは免許も持ってないし、車はまだだし。
タクシーとか、贅沢なもん使えない。
そんな中でオレが考えたのは。
『TVに出れば、有名になれば、きっとみんな見てくれる。』
アイドルじゃなくてもよかった。TVに出て、目立てればそれで。


「おーはよーりっくん。」

「おはよう環!今日は休みなのに早い?」


時計を確認しながら、にこにこと、朝から元気な赤い髪がふわふわ揺れてる。
俺は背の高い方だから、なんかこう。年上でも頭をなでたくなる時がある。
りっくんは特に。
多分、りっくんは怒らないと思うけど。みっきーには何すんだーって言われたけど、あんまり怒られなかった。


「んー、なんか目え覚めたから。」

「最近暑いからかもしれないなー。俺も何だか早起きしちゃってさ。」


りっくんはお茶をコップに注ぎながら、飲む?と問いかけてきた。
頷くと、俺の愛用してる王様プリンの景品コップに注いでくれた。


「そういえば環、最近、あんまり一人でどこかにフラーっと出かけるってなくなったよな?」

「えー?うん、まあ。」


何となく素直に答えられなくてお茶を飲む。
出かけてたのは、妹を探すためだったから。
この人がいっぱいいる都会で、あてもなくふらふらとさまよいながら。
もちろん、TVに出て有名になろう、とはしていたけど、それでも何かしていないと落ち着かなくて、
写真を持って聞き込みとかもしてた。


「探してたんだろ?妹さん。」

「…りっくんにもばれてたのー?誰がバラしたんだ、ヤマさんとか?そーちゃんはなさそうだし…あ、ナギっちとか?」

「違うよ。何となくそうかなって思ったんだ。」


苦笑しながらりっくんがお皿を二つ持ってくる。
朝ごはんを用意してあったらしくて、目玉焼きとソーセージ、パンにフルーツが乗ってる。
これだけじゃ足りないから後で王様プリンを食べよう。


「オレもさ、天にぃを探そうってしてたことがあるし。環の気持ち、なんとなくわかる気がする。」

「…そっか、そうだよな。」

「でも、オレの場合、天にぃはすぐにTVで見て、元気なのは分かったからさ。」


言いながら、りっくんは多分てんてんのことを考えてるんだろうな。
俺も、理の事を全然考えないってことは、ほとんどなかった。
いつだって心配で、何してるのかって、今も。
まだ子供の俺には、何にもできなくって悔しくて、散々当たり散らすみたいなこともした。
沢山怒られて。それ以上に、アイドリッシュセブンのみんなが俺のために謝ってくれた。


「なー、りっくん。」

「どうした?」

「俺さー、理がちゃんとTV見れてるか、見れてたら会いに来るって思ってたんだよな。」

「うん。」

「でもさー、無理だよな、東京めちゃくちゃ広いし、ビル何十階もあるし、同じとこで仕事してても会わないとかあるしさー。」


きょとんとした顔をしていたりっくんが、にっこり笑ってくれる。


「そうだな。オレは環に会えて、同じアイドリッシュセブンのメンバーで、嬉しいよ。」

「…すっっげー、りっくん超能力者かよ。」

「あはは、使えたらよかったな。」


すげー恥ずかしくて言えないことも、りっくんは素直に言う。
そういうところ、りっくんはホントに凄いと思う。


「あー・・・なんだっけ、いおりんが言ってたんだよなー。ええと…。」

「?」

「…やべえ、忘れた。めっちゃいいこと聞いたなーってそん時思ったのに。」

「なんだよそれー、もっかい一織に聞いといて、オレまで気になるー。」


忘れなんてしないけど、ちょっと恥ずかしいから秘密。
アイドリッシュセブンは運命共同体。


俺は、理の事だけじゃなくて。
アイドリッシュセブンのメンバーで、居たい。

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