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六つ根自在に

いつだってワタシは、この国が大好きで、
この国の人々も大好きで。
でも、特別だったものが、こんなにも増えるなんて思ってもいなかったのです。


「oh!!八乙女氏、偶然ですねー!」

「おお、なんだ、六弥か。」


紙コップを手にして佇むだけで絵になる、いわゆるイケメンという分類の八乙女氏を発見し、声をかける。


「休憩中デスか?」

「おう、まあな。六弥、確か隣のスタジオでポスター撮影だろ?」

「…美しさは罪デスネ…ここに八乙女氏という追っかけまで生んでしまうなど…。」

「ちげぇよ!」


オォー。イケメンで、ツッコミもできるとはなかなかの強敵ですねー。
ライバルグループ、TRIGGER。
もちろん、我らアイドリッシュセブンが負けているなど露ほどにも思ってはいません。
ですが、張り合うに値する、素敵なグループであることも確か。


「冗談です。友人の紹介で、ワタシをイメージキャラにする商品のポスターを撮影してました。」

「友人…ね。俺は雑誌撮影だ。龍と天は別撮りしたから、俺単独でな。」

「なるほど。忙しいTRIGGERならではですね。」


頷いて見せれば、八乙女氏は不思議そうな顔をしてワタシを見つめる。
確かに、レディたちが騒いでしまうのも理解できるルックスです。
ワタシも十分に美しいので、この素敵な光景をみたレディたちを見てみたいものですが。


「お前、単独で『そういう方向』に行く気はねえの?」


そういう事でしたか。
しかし、まったく悪びれることなく…というよりは、純粋な疑問からなんでしょう。
そんな風に聞かれては、はぐらかした場合こちらが悪者デスヨ。


「…少し前までなら、『今は行く気はナイ』と答えていたデショウね。」

「ほぉ。」

「ですが、今は違います。ワタシはアイドリッシュセブンを愛しています。アイドリッシュセブンを愛してくれる人を愛しています。
…ならば、ワタシのいるところはアイドリッシュセブン以外にあり得ません。」


今、ワタシの『繋がり』で仕事をオファーしている友人たち。
そのオファーは『アイドリッシュセブン』の『六弥ナギ』として、お受けしますよ、との条件を付けている。


「ははっ、お前らみんな似たようなもんなのな。」

「?」

「いんや。こっちの話。…まあお前らだけじゃねえんだけどさ。」


楽しそうに肩を震わせて笑いながら、八乙女氏はもう一つ、紙コップを持ってくる。
湯気を纏ったコーヒーが、優しい香りを運んでくる。


「ほれ。おごり。面白いこと聞かせてもらった礼だ。」

「thx、ゴチソウサマデス!」

「あ。ノースメイアは紅茶文化か?」


急に問いかけられ、脳裏に懐かしい風景が浮かぶ。
寒い日にミルクをたっぷり入れた紅茶が、思い出から香り立つように。


「コーヒーも好きですよ、もっと言えば、ここなのグッズで飲む飲み物は全て魔法のように美味しくなります!」

「お前ガチでそうなのな、和泉兄が嘆いてた。」

「ミツキはシアタールームで共にここなを見る同志デス!八乙女氏もここな鑑賞会シマショウ!」

「そこでヒートアップすんなよ、ほら、もう休憩終わっから!」


逃げるようにスタジオに戻っていった八乙女氏を見送り、コーヒーを一口。

ノースメイアからは遠く離れたこの地。
ハルキが連れてきてくれたこの地に、後悔は一切ない。
なぜなら、かけがえのないものを、この地でたくさん見つけたのだから。
素晴らしい仲間と共に歌う、ハルキの歌。

そう。
ワタシの居るべきところを、見つけたのです。

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