ジャンル:黒子のバスケ お題:ぐふふ、帰り道 制限時間:30分 読者:121 人 文字数:1171字 お気に入り:0人
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ストーカー被害にあう桃井ちゃん ※未完

 ぐふふ

 何処かから聞こえた声に肩が跳ねた。
 すっかり暗くなった帰り道。薄情な幼馴染はとっとと先に帰ってしまい、他の部活仲間も共にいない。
 まだ夜と言える時間ではないけれど、日が短くなって出歩くものも減った辺りを見回し、桃井は深く深呼吸をした。

 ――最近、どこからか視線を感じる。
 
 最初は気のせいだと思っていたけれど、三日ほど前、家の郵便受けに入っていた桃井宛の手紙が、楽観的な思考を許してくれなかった。
 <桃井さつき様>とB6程の一般的なものより少し大きな白い封筒に桃色で書かれた文字は、一つ一つの角が尖った神経質そうな文字だった。
 裏には送り主の名前が署名されておらず、切手も貼られていないその封筒。
 開ける前から、なんだか嫌な予感はしていた。
 厚みのある封筒を自室で開いた桃井は、声にならない悲鳴を上げた。覗き込んだ封筒をとり落とし、中から流れ出たのは自分の写真。写真。写真。写真。写真。
 どれも目線があっておらず、自分以外に写る者全てが塗りつぶされた写真が何枚も封筒に押し込まれていた。
 そして、そんな写真の下から、何枚も重ねておられた紙が一組。あんなに束になっているのは初めて見たが、わかる。便箋だ。
 震える手でそれに触れた桃井は、それをゆっくりと持ち上げて、折られた便箋を開く。案の定、それは手紙だった。
 内容は思い出すことも恐ろしい。
 ざっ、と血の気が引く感覚に、桃井は暫くその場から動けず、我に返ったのは夕飯のために母親に名を呼ばれてからだ。
 全部読むことなどできなかった手紙は写真とともに適当な箱に仕舞いこみ、部屋の隅へと置かれている。本当はすぐにでも捨てたかったけれど、もしかしたら何かの情報が得られるかもしれないものを捨てることが桃井にはできなかった。それに、今日だけかもしれない。そうしたら何事もなかったように捨てよう。そう考えていた。
 もちろん、――なんて、いいたくないけれど――その日から毎日、同じような封筒が桃井の家に届けられ、そんな希望は崩れ去っている。
 切手のない封筒。
 家の場所は知られていた。
 目線の合わない写真。
 校内のものもある。
 手紙に綴られた文字の羅列、そこにあった、桃井のその日の行動。
 常に、見られている。
 最近感じる視線は気のせいなどではないと、桃井は思い知らされていた。
 わかっている、これは世にいうストーカーだろう。誰かに助けを求めるべきだということもわかっている。
 けれど、知識はあってもどうすればいいかわからなかった。
 警察は明確な被害はないと動けないと聞く。相談へ行ってもすげなく帰らされることも多いとも。
 対処法などわからない。もし相手が最悪暴力に出るような人物だったらと思うと、身近な人にも助けは求められなかった。

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