ジャンル:Voltron お題:勇敢な儀式 制限時間:30分 読者:56 人 文字数:1406字 お気に入り:1人

勇敢な儀式(シロキス)




大学生シロキス 虫に弱いバカップルと飼い猫




赤、青、緑、橙、
わざわざ買ってきた画用紙をめくって、目当ての色を冊子からぺりぺりと剥がす。

ハサミをシャッキリと入れて、長方形を切り取る。
切り取った形を整えながら、今度は斜めに刃を入れていく。
セロテープを探したが、見当たらなかったのでホッチキスで代用する。

作業中に自然と鼻歌が漏れる。

数分してから、階段を登る音に気づく。
シローの足音だ。
読み通り、すぐに玄関の鍵が開く音がした。
がさがさとビニール袋の音がするので、頼んだ通り買い物をしてきてくれたらしい。

「ただいま。キース、言われたもの買ってきたけど…うわ、」
「おかえり」

なぜかキースはキッチンの床に座り込んでいた。
画用紙、マジック、えんぴつ、ハサミ、ホッチキス、ハンカチらしき布が彼が広げた足の間や体の周りにちらばっている。
いつもの彼らしからぬ道具の数々に「工作か?」とシローは苦笑する。

「頼んだもの、全部あった?」
「あったぞ。でもこれ全部ブラックのじゃないか」
「そうだよ」

いつもよりもちょっと高級な猫缶、大好きなおやつ。
キースが彼の帰るタイミングに合わせて送ってきた買い物リストは、シローの飼い猫の口に入るものばかりだった。

品物をシンクのそばに置いていると、キースは隣の部屋から件の猫を抱いて連れてくる。

両脇の下に手を入れて飼い猫を運んでくるので思わず、大丈夫かそれ、と心配してしまう。
猫本人はリラックスしたままで胴体も脚もだらりと伸びている。

「今日はブラックを讃える日だから」
「え?」

シローが立っているそば、シンクの隣に猫を座らせると、キースは床から黄色の画用紙で作ったパーツと赤いハンカチを拾い上げた。

黒猫に紙の王冠と、ハンカチのマントが与えられる。

「なんだこれ」

ぶはっ、とシローが笑いを手のひらから漏らすと、キースはむっと口の端を下げる。

「今日のブラックは勇敢だったんだぞ!讃えるべきなんだ」

やや憤りを見せる恋人が可笑しいものの、これ以上笑うと拗ねられかねない。
シローは自分よりも低い位置にある頭を引き寄せると、頭頂に鼻先を埋めるようにしてキスをした。

「わかったわかった。なんでかは聞かせてくれるのか?」

奇跡的に大人しく座っている猫の顎をひと撫ですると、キースは真剣な顔で「アシダカグモがでた」と告げた。

瞬時にシローの脳裏に自分の手のひらをおおってしまうくらいのサイズのがっしりした8本足の虫が浮かんでぞわりと鳥肌がたつ。

「うっ…どこに…」
「リビングに…」

成人男性二人が情けなく互いの腕を持ったままか細い声を出している。
標準よりも逞しい体と精神を持っている二人だが、二人とも虫には大層弱かった。
アシダカグモは益虫とは聞くが、同じ部屋にはいたくはなかった。

「でも、ブラックがいたから助かったんだ」

話を聞くとキースがリビングの入り口で固まっている間に、小さな黒猫が颯爽と現れて窓まで蜘蛛を追い詰めたとのことだった。
腰を引かせながら窓を開けてアシストしたのだというキースを労いながら、シローは隣の黒猫を撫でる。

「それはお手柄だったな、ブラック」

まだ成猫になっていない黒猫はぷるぷると頭を振って与えられた王冠を振り落とすと、ピャーとニャーの中間くらいの声で返事をした。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


見つかりませんでした。

しろの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:気持ちいいボーイズ 制限時間:30分 読者:40 人 文字数:847字 お気に入り:1人
嗅いだことがあるような匂いが鼻をくすぐって、一瞬何かのイメージが脳裏に浮かんですぐに消える。なんだっけ、この匂い。あれに似てる。なんだっけ?声に出しかけたところ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:ちっちゃな悪魔 制限時間:15分 読者:45 人 文字数:803字 お気に入り:1人
7時起床。歯を磨く、顔を洗う。天気予報を見ながら猫に餌をやる。数年前ならラジオ体操に行かされていたであろう晴天を見上げてから夜のうちにタイマーセットしておいた洗 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:オレだよオレ、暗殺者 制限時間:30分 読者:52 人 文字数:612字 お気に入り:1人
ランス、キース、ピッジ、ハンク、コランシーズン6後ザクザクと草や小石を踏みながら歩いていると、前方で枝を踏む音がした。キースは腰の後ろにゆっくりと手を伸ばす。腰 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:勇敢な儀式 制限時間:30分 読者:56 人 文字数:1406字 お気に入り:1人
大学生シロキス 虫に弱いバカップルと飼い猫赤、青、緑、橙、わざわざ買ってきた画用紙をめくって、目当ての色を冊子からぺりぺりと剥がす。ハサミをシャッキリと入れて、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:激しい演技 制限時間:15分 読者:77 人 文字数:640字 お気に入り:1人
ランス視点 大学生シロ←キス本当に、好きなんだなぁと思う。送る目線とか、見つめる眼の色とか、何か言いたげに開く唇とか。大概、しばらくしてから下唇を噛むようにして 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:おいでよ声 制限時間:15分 読者:71 人 文字数:1018字 お気に入り:1人
シロキス / シーズン6ネタバレ「ーーー。」呼ばれている。「ーーー。」体を、思考を引っ張られるように呼ばれている。「ーーー。」あらがえない引力に、キースも答えよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:犯人は小説合宿 制限時間:15分 読者:63 人 文字数:576字 お気に入り:0人
シローは手のひらの機械を眺めながら少し困った顔をしていた。赤い塗装がされたスマートフォンは、シローのものではない。自分のものは、おそらくさきほど電話をかけてきた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:宿命の第三極 制限時間:30分 読者:46 人 文字数:1428字 お気に入り:0人
チームヴォルトロン・現パロ「海!」「山!」「ロボコン!」みんなで遊びにいきたい。誰が言ったかもはやわからないが、平和な発言から数十分。冷め始めたポテトとハンバー 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:情熱的なお天気雨 制限時間:15分 読者:56 人 文字数:704字 お気に入り:1人
飼い猫のおやつと人間用の牛乳が無くなったので、買いに行ってくると声をかけると宿題をしていた少年は鉛筆を放り出して俺も行く!と飛びついてきた。「ただの買い出しだぞ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろ ジャンル:Voltron お題:小さな幻想 制限時間:15分 読者:69 人 文字数:924字 お気に入り:1人
「最近夢の中で、グリーンが出てくるんだよね」夜の食卓で、緑のゼリーに触発されたのか、ピッジが誰に言うでもなくつぶやいた。「仲がいいことだなぁ。オレは女の子の夢を 〈続きを読む〉