ジャンル:メギド72 お題:彼女とロボット 制限時間:30分 読者:79 人 文字数:1584字 お気に入り:0人

ウヴァルさん海水浴いくかな

「やあウヴァル、おかえり」
「……ただいま、戻った」
 ウヴァルは、おかえりという響きにまだ慣れない。ただいまと返事を返すのもだ。
「おかえりおかえりー! 外が暑い暑い!」
 バルバドスに続いて、暑さで上着を脱ぎかけたシャックスが風のように横をかけてゆく。
 塔の探索から戻ったウヴァルは、ちょうど戻ってきたソロモンたちと出くわした。
 どうやら、町での一件が片付いたようだ。
 指輪の力を行使するソロモンたちは、必要最小限のメギドたちと行動している。
 それに並行して、塔の探索はメギドのみで行われる。いつものように戦果を報告し、それ以上言うべきこともなく、武器の手入れでもするかと立ち上がったウヴァルを、珍しくウェパルが引き留めた。
「そういえばウヴァル、明日はみんなで海に行くって」
「海?」
 ウヴァルの顔つきが、わずかにこわばる。
「幻獣がまだいるのか」
「そういうわけじゃないんだけど……」
「ま、ちょっとした息抜きってやつだな」
 ブネはやれやれとため息をつき、モラクスの頭をぐいと下に押す。
「海、海ってこいつがうるさくてな」
「おっさんだって、水着にはしゃいでたじゃん!?」
「俺は戦闘面での動きやすさを試しておこうと……」そこまで言い訳して、ブネははしゃいでるのを認めるように話題を変えた。「いや、まあ、ソロモンも息抜きが必要だってことで、話し合って決まったんだ」
「ガープも賛成か」
「ああ」
 ガープは、積極的に賛成はしていないが、理由に納得はしているという様子だ。
「準備しておいたら?」
「ならば、私はアジトで番をしていよう」
「それが、そうもいかなくてね……」
「?」
 バルバドス曰く、先の大雨で、ずいぶんとアジトにガタが来たようで、一度シバの女王らの使いの者が様子を見て(ついでに、修繕をしてくれる)とのことだった。その日は全員が出払っているほうが都合が良い、とのことだ。
 どうするかと思案するウヴァルの肩を、サレオスがぽんと叩く。
「まっ、休みだと思ってさ、のんびり羽を伸ばせばいいんじゃねぇか。よし、泳ぐぞ!」
「いえー!」
「テメェら! 海舐めてっと痛い目にあうぞ! 準備体操をだな……おい!」

 ラウムとマルコシアスが海に詳しくないメギド達に、海での過ごし方について講義している。それにユフィールが、医療メギドとしての注意をくわえている。
 注意事項といっても、深いところに入るなとか、一人で勝手に行動するなとか、そういったことだ。モラクスは聞いてはいたがどうしても楽しみのほうに意識がいくらしい。
「まあ、倒れたら……俺がいるから安心してよ。試したい治療法があってさ……」
「ぜ、ぜったい倒れられねえ!」
 アンドラスは様子を見守るだけだったが、どことなく嬉しそうなような、普段通りのような、そんな表情だ。
(休みか)
 かつてさもあるがのごとく幻獣を殺すさまが、まるで機械のようだ、と言われて、ウヴァルはそういうものなのかもしれないと思っていた。
 機械に休息は必要はない。別に嫌いではないが、どうしたらよいのか分からない時間があるというのは、落ち着かないものだ。ならば、何をやるか分かっている分、塔の探索などのほうが気楽なのだ。今からでも別行動を申し出てみようかと思ったが、ストラスがひそひそと話しかけてきた。
「ね、海で遊ぶのって、すごく普通っぽいですよね。ウヴァルさんはどんな水着にしますか?」
「そうは言ってもな……普段通りだ。何が起こるかわからん」
「普段通りって、そんな」
「あたし、レースがたっくさんついたやつにするよ!」
 ゼパルがひそひそとは言えない声で言う。
「私は……」
「やっぱり、動きやすいやつですよね?」
「そうだな」
 つい言う機会を失ってしまった。
(仕方がない、行くことは行くか……)

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