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あかしくんてたぬきっぽい。 ※未完

 
 あ。
 部活を終えて帰ろうとした黄瀬はふと気づいた。
 赤司が困っている。
 めずらし。


 黄瀬は思わずわくわくした。なぜなら赤司は赤司なので。
 そうして、人間というのは楽しかったりわくわくしたりすると、その体験を共有したいと思うのが常である。黄瀬もその例にもれず、共有すべき他人を探して、そうしてそういうときに共有したいと考える相手はたいてい好意を抱いている相手となるわけで、そうなると、まあ、黒子一択である。
 そして、黄瀬の視線の先で、やっぱり黒子もわくわくとしていた。
 うん。
 わかってた。
 黄瀬は黒子のことがだいすきだけれど、黒子のことを聖人君子だなんて思っていないし、というかむしろ性格は悪い部類にはいるんじゃないかと思っている。にんげんかんさつが趣味の性格が良いにんげんなんて見たことない、というのが黄瀬の持論であって、黒子を見てもその持論は覆されず、さらなる説得力をもっただけとなった。
 視線を戻すと赤司はまだ困っていた。困っている赤司は表情も何も変わらず、直立不動いたりする。存外、キャパオーバーするとフリーズするタイプだと思う。なかなかキャパオーバーしないけど。
 黄瀬は決して動物が好きではないけれど、ときどきキセキの面々は動物に見える瞬間がある。まあ、黄瀬が犬っぽいといわれるのと同程度の意味だ。
 
 ちなみに、赤司はたぬきに見える。少したれたぽてっとしたしっぽが見えるようだった。
 ほかのだれかに言ったことはない。
 世の中、だれがどこで聞いているかわからないし、そもそもひとりごとのつもりで呟いたとしても、うっかりすぐそこに幻の6人目がいたりして、その幻の6人目がうっかり口をすべらす可能性がなしとも言えないので。
 視線の先で、赤司は
 赤司は苦しまぎれで、きっとやぶれかぶれなのだろう。
 黄瀬のとなりで、黒子はうっとりつぶやいた。

「―――困っている赤司くんは、可憐ですね」

 たいてい黒子の言語表現と感性は、黄瀬の想像もつかないところまで飛び立っている。
 黄瀬も黒子も、当分のところ、助ける気は、ない。

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