ジャンル:あんさん腐るスターズ! お題:振り向けばそこに始まり 制限時間:15分 読者:89 人 文字数:940字 お気に入り:0人

桜舞う、始まりの声

 入学式のことだった。
 新入生として、真新しい制服に身を包み、これからこの学舎で自分は『アイドル』になっていくのだ、と。
 真緒の脳裏に浮かんでいたのは、そんな夢の先へと己の才を――もしも、そんなものがあるのであれば、だが――を咲かすべく、奮闘していく自分の姿で。
 フィクションから想像できうるシチュエーションはどれもあまりに過酷で、それでもどうにかハッピーエンドに辿り着くという希望を抱えたものだったが、果たして自分がその頂きに辿り着けるのか、それがただただ不安だった。
 アイドル科は所謂少数精鋭が集まる学科であり、入学式は参加人数の割にはあまりに広い講堂で行われた。
 趣きこそ仰々しいぐらいに厳かに始まったが、アイドル科らしく、中盤からは在校生の生のパフォーマンスが行われた。
 中でも真緒の関心を引いたのは、『和』を基調とするユニットだった。
 教科書通りの伝統を地で行くのかと、そう思わされたのは序盤だけで、そこから『アイドル』のそれに昇華されたパフォーマンスは、まさに芸術だった。
 抱いた感情は、果たして『あんな風になりたい』だったのか、それとも『あの中に入りたい』だったのか。
 式が終わり各々が教室へと移動している間も、真緒の脳裏からあのライブから受けた衝撃が頭から離れなかった。
 そう、思わず道を見失い、構内で迷子になってしまう程度には。
「やっべ、どこ行けばいいんだ……」
 思わず焦り声を漏らしてしまうが、初日からホームルームに遅刻することはできれば勘弁被りたいのだ。
 そんな気持ちが表れた声を聞かれたのか、ふと背後から、
「おい、そこの貴様」
 と声が飛んでくる。
「ひゃ、あ、いや、はい!」
 どもりながら何とか振り向いた先には、
「なんだ、赤ということは新入生か」
 ネクタイの色で学年を判別したらしい、上級生と思しきその生徒が居た。だがその生徒とは。
「あ……、ああーっ!」
 驚きのあまり、失礼と自覚しながらも指を差してしまう。
 何故ならその生徒は。
「おい、初対面の相手を指差すととは失礼だろう、度し難い」
 つい先刻、見事な歌唱とパフォーマンスを披露した、先輩だったのだから。

 そう、それが、これから続く淡い恋の始まりだった。

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