ジャンル:刀剣乱舞 お題:軽い王子 制限時間:30分 読者:115 人 文字数:704字 お気に入り:0人
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朝のめざめ ※未完

 夢をみていた。なんの夢だったかは覚えていない。夢と現実との境界まで意識が浮上するにつれ、それまであざやかだった夢の景色はじょじょに色褪せていく。深く濃い海の底からぶくぶくと浮かび上がるにつれ、曖昧模糊に混濁していた自意識が、無色透明に洗い流されてゆく。
 瞼に、白色を感じた。それはあまりにまばゆくて、ぼんやりとした頭は、すぐにはそれが朝の陽光であることが認識できなかった。けれど、外の冷たい大気が流れ込んできて、それを頬に感じて、やっと頭がはっきりとしてくる。ぼやけたピントのカメラの焦点がじょじょにあっていくように、散逸していた意識の欠片があつまってひとつになる。今日も今日とて、本丸に朝がきたのだ。
「……よお、大将。よく眠れたか?」
 寝起きであることに配慮したのか、低く抑えた声がかけられる。眠気だとか怠惰とかとは無縁のさわやかな声色だった。
「………おはよお」
 開き切らない重たい瞼で声のもとに視線をやれば、開かれたふすまと逆光で切り取られた人の影。そこにいるのは誰、とは聞かずともわかる。初鍛刀で顕現して、それより近侍をつとめている薬研藤四郎だ。
「あいかわらず、はやいね」
 はは、と薬研は音をたてて笑う。
「大将が、寝坊助なんだ。さて、支度、手伝うぜ」
 軽やかな足取りで室内にはいると、後ろ手にふすまを閉める。わたしは羽毛布団を頬のあたりまで引き上げる。
「今日も寒そう」
「ああ、寒いとも。朝方には雪がちらついてたぜ」
 薬研は、無理に起こすことはしない。枕元に胡坐をかく。指先が、わたしの額にかかる前髪をはらった。やわらかい微笑みを浮かべていて、なんだか胸の奥がくすぐったくなる。

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