真っ白マーキング
【山ジュニ】
さんよーさん視点
「山陽さんちって、黒と白ばっかりですよね」
そう呟いたジュニアが見ていたのは、キッチンの漆黒の床である。デフォルトは違う色だったのを、俺がわざわざ指定してその色にした覚えがあった。その代わりに壁紙は白一色。バランスは取れているはずだった。
「うん、黒と白で揃えているから。ジュニア嫌いだっけ?」
「そういうわけでは、ないんですけど」
落ち着かなさそうに部屋を見て回るジュニアは、それはそれで普段中々見れない姿なので新鮮だった。ちなみに見て回っているのは、合鍵を渡した記念に見て回っていいよって言ったからです。グッジョブ俺。
「時々置いてある、こう……お土産でしか見かけない置物とかペイントとかって、何なんです……?」
「ああ、それね、西のやつらがたまに置いて帰るの。持って帰れって言っても聞かないんだよ、もー」
「ふーん」
そう呟いたジュニアは、そのまま何かを考え込んだ。一度考え出すとしばらくそのままなのを知っている俺は、後ろから手を伸ばしてその身体を抱きこんだ。考え込んだままのジュニアは、ぬいぐるみよろしく抱きかかえられている。
さて、何を考えているのやら。
ジュニア視点
気にくわない。
山陽さんちに、西のやつらの置き土産があるのが気にくわない。
気にくわないったら気にくわない。
これは自分も何かしなければならないだろう。しかも可及的速やかに。山陽さんが忘れようもないやり方で。
ピン、ときた俺は、ホームセンターへ出かけて行った。
山陽さんが何か言っていた気がするが、気のせいだろう。
買ってきた真っ白いペンキを、漆黒の床に盛大にぶちまける。
白とのコントラストで、もはや床は黒を通り越してどす黒く見えている。
これだけのインパクトがあれば、いくら山陽さんでも忘れないだろう。
よし!
満足した俺は顔を上げた。
……そうして、呆然としている山陽さんと目が合って、ようやく自分がしでかしたことに気がついた。
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