ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:光の彼氏 制限時間:1時間 読者:30 人 文字数:1418字 お気に入り:0人

世界はそれを惚れてるって言うんだぜ ※未完

ハ、と以蔵さんは嗤う。
心底バカにしたように、全くつまらない男だと断じたように、思い切り見下して、ハ、と短く、嗤う。

二人で何かくだらないことを思いついた時のような、酒の席で昔の話を思い出して笑い合う時のような、全く下品で愉快で痛快なことに、腹の底まで満たされた時の、あのゲラゲラ大口を開ける笑い方ではなく。
少し褒めてみた時のような、ちょっぴりおだててみた時のような、彼の小さな自尊心が充分に満たされた、そのことによるあの得意げな、ふは、と目を細めて襟巻に首を埋める子供のような笑い方でもなく。

ハ、と、短く、突き放したように、以蔵さんは嗤う。

そうやって嗤われると、僕の心の中の何かが動くのだ。
すっぽり抜けていた部分があって、そこにすとんと何かがはまり込んだような、そんな感じがするのだ。
ああ、なんて感動を伴った感傷ではなくて、あ、という気づき程度の心の変化。
いま、以蔵さんに、嗤われたな、と思うのだ。

恐らくは。
あの笑い方は、苛立ちを覚えていい種類のもので、人によっては殴りかかる種類のものだと僕は思う。
以蔵さんは二人いないので確かめようがないけれど、以蔵さんのあの、ハ、という嗤いを以蔵さんが受けたら、以蔵さんは以蔵さんに刀を抜いて突きつけているだろう。
僕は、あいにくと気が長い方なので、そう短気に怒れないのだけれど。
いや、話が逸れた。僕の気が長い話は今は避けておいたほうがいい。
以蔵さんのハ、という嗤い方は、短気な人なら怒りの導火線に火をつけ、気の長い人でも快くは思わないだろう。
これが僕の所見である。
それで……。

それで、僕の場合はどうかというと。だ。
すごく、変な気持ちになるのだ。
ハ、と、心底見下したように、馬鹿にしたように、以蔵さんが嗤う。
あ、嗤われたな、と、僕は思う。
その次に僕が感じることを言葉にすると、それはどうも、嬉しい、とかそのような言葉になるのだ。
僕は、生来気が長い方だけれど、決して変わった嗜好は持ち合わせていないので、もちろん、馬鹿にされて喜ぶ情動回路は持ち合わせていない。
にもかかわらず、以蔵さんがああやって、ハ、と短く嗤うと、ひどく嬉しい気持ちになる。
と、いうことは。

僕は、以蔵さんがそんな風に嗤ったことが嬉しい、ということになるのだろうか。
……そういうことに、なるのだろう。

以蔵さんのあの嗤い方は、他人を見下し、馬鹿にし、遠ざけて、不快にさせるあの嗤い方は、きっと人斬りの嗤い方だと、僕は思う。
自分の手で相手を殺せることをよく知っている、人間の命など容易く刈り取れるつまらないものだと知っている、自分は殺す立場であり圧倒的に優位に立っていると知っている、そんな人の嗤い方だと僕は思う。

以蔵さんがそんな嗤い方をするのが、どうしてそんなに嬉しいのか、僕にはさっぱりわからない。
わからない。

せっかく愛らしい顔立ちをしているのだから、もっと人好きのする笑い方をしたらいいのに、とか。
他人を貶めて笑うのは良くないとか。
そんな反論はいくらでも思いつくのに、その方がいいと思うのに、なんで、どうしてか、以蔵さんにああ嗤われると、僕の中のどこかが動いて、カチリとはまって、そこから動かなくなってしまう。
そんな風に嗤われることが、以蔵さんがそんな風に嗤うことが、嬉しい、なんて、辻褄が合わないと思うのに。



















同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:勇敢な体 制限時間:30分 読者:47 人 文字数:1122字 お気に入り:0人
槍弓「ヘマすんじゃねーぞ」「君に言われたくはないな。あの魔獣と違わないその猪突猛進ぶりには驚かされる。…ああ、君は猪ではなくフリスビーに飛びつく犬だったかね?」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
暴君と十の夜 ※未完
作者:恵衣 ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:10の情事 制限時間:15分 読者:82 人 文字数:1017字 お気に入り:0人
一度目は、彼から誘われた。元々性に奔放な古代人である。大した抵抗もなく抱いたのだが、なんと相手は処女だった。男に対してその言葉で表していいのかはわからないが、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
炎の海に立つ ※未完
作者:隻蘭 ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:死にぞこないの事件 制限時間:15分 読者:105 人 文字数:559字 お気に入り:0人
「キャスター」 呼びかける声に、しかし無言で応える。「背を向けたままでいいのか?」 このまま○すこともできるぞ、と奴は言外に告げている。 お前に殺されるならそれ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:隻蘭 ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:臆病な男 制限時間:15分 読者:96 人 文字数:470字 お気に入り:0人
「アーチャー」 名を呼ぶ声に、思わず肩を揺らした。「……なんだね。私はこれからマスターについて種火集めをしなければならないのだが」 できるだけ声を震えさせないよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
心中 ※未完
作者:隻蘭 ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:男同士の死 制限時間:15分 読者:170 人 文字数:541字 お気に入り:0人
ごぼり、と血を吐きだした。 元より紅い呪いの朱槍は俺とヤツ、二人分の血を浴びてより一層禍々しくなっていた。「き、さま――」「仕方ねぇだろ、万全の状態でもないの 〈続きを読む〉

たな@進捗実況5sec目の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:たな@進捗実況5sec目 ジャンル:FGO(腐) 帝都騎殺 お題:大好きな罰 制限時間:30分 読者:20 人 文字数:931字 お気に入り:0人
彼の黒い外套を奪うこと。硬い床にその外套を広げて褥を作ること。黒く硬い褥に彼を押し倒して、馬乗りになること。両膝の下に、彼の引き締まった体躯を感じること。彼の腹 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:たな@進捗実況5sec目 ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:苦いガール 制限時間:1時間 読者:27 人 文字数:1598字 お気に入り:0人
あなたはとても苦いのです。あなたはとても苦くて、私の胸を苦しめるのです。「あれ?」と、以蔵の手元を覗き込んで、龍馬が驚いたような声をあげた。「以蔵さん、コーヒー 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:たな@進捗実況5sec目 ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:光の彼氏 制限時間:1時間 読者:30 人 文字数:1418字 お気に入り:0人
ハ、と以蔵さんは嗤う。心底バカにしたように、全くつまらない男だと断じたように、思い切り見下して、ハ、と短く、嗤う。二人で何かくだらないことを思いついた時のような 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
請け負い始末 ※未完
作者:たな@進捗実況5sec目 ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:商業的な屍 制限時間:30分 読者:36 人 文字数:495字 お気に入り:0人
以蔵の職業は殺し屋である。本人は人斬りを自負しているが、その名の通り主要武装は日本刀と定め譲らないが、まあ、○すことを生業にするのに相違はない。依頼は粛清であっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:たな@進捗実況5sec目 ジャンル:Fate/Grand Order お題:走る外資系企業 制限時間:1時間 読者:51 人 文字数:1419字 お気に入り:0人
お題無視します。すみません。以蔵は部屋でアサシンの連中と酒と花札に興じていた。札を囲むのは以蔵に新宿のアサシン(まだマスターにも真名を明かしていないそうで、ここ 〈続きを読む〉