ジャンル:名探偵コナン(夢) お題:有名な、と彼女は言った 必須要素:ドア 制限時間:30分 読者:78 人 文字数:1707字 お気に入り:0人
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隙間からみえた背中

数年ぶりにかいた完全に心情吐露のようなものになります。
ひどいかんじでごめんなさい!


窓から見える夜景は悲しいくらい綺麗だった。
遠くに見える水族館の観覧車はきらきらとライトアップされて、きっとたくさんの笑顔に溢れている。
私は、それをここからみている。
大好きな人と一緒に、笑顔とは正反対の表情をして。

「藍さん」

久しぶりのデートだった。
やっとあえるから、ワンピースは新調した。
靴もいつもよりヒールの高いものをはいた。
滅多に行かない美容室にもいった。
初めてネイルサロンにもいった。

あなたに、好かれたくて。
少しでもあなたの中に私が残ってほしくて。

それでも、あなたは困ったように笑うのだ。
夕方に待ち合わせをしたときも。
美味しい料理に舌鼓を打っている時も。
私をこの部屋にエスコートする時も。

流れているBGMがやけに響いて聞こえる。
こんなことなら、来なければよかった。

「ねえ。」

ああ、やめてほしい、そんな声を出さないでほしい。
まるで最後みたいな。
泣きそうな声。

「こっちを向いてください」

宝石のような景色から目を離して振り向けば案の定顔を歪ませた安室さんがいた。
彼の瞳もまた、宝石のように美しくて。
私はなんどその瞳に恋い焦がれたのだろうか。

「藍さん、ぼくはーー」

思わず視線をそらす。
彼の顔なんて見てられなかった。
彼がぐっと私の肩を掴んで顔を覗き込んでくる。
やめてほしい、いまあなたの顔をみたら絶対に泣いてしまう。




彼と出会ったのはとあるバーだった。
一つ開けて隣。
いつもそこに座る人だった。
最初は気にもとめていなかった。
あの空間は私にとって思考を整理するための場所で、他の人なんてどうでもよかったから。
けれど、毎週のように見かければ嫌でも覚える。
キラキラとした髪、すらっとした鼻、少し伏せた瞼から覗く美しい青。
綺麗な人だと思った。

けれど、ある日その横顔はひどくゆがんでいた。

手にはスコッチ。
普段はバーボンを飲んでいるのを私はしっている。

きっとなにかあったんだろう。
一つ開けて、隣。
私たちの間には確実に壁がある。
そもそも名前さえ知らないのだ。

けれど、どうしても気になってしまって。
じいと見つめていたせいか彼の視線と交わる。

そう、それが始まりだったのだ。





安室さんは私に別れを告げるつもりなのだ。
いつからか、それに気づいてしまった。
それは私を通してどこか遠くを見ているような瞳だったり。
どこかよそよそしい仕草だったり。

何も知らない人が見れば私たちは幸せなカップルだったと思う。
けれど、彼の嘘を見抜けてしまうくらいに、私は彼を見ていた。


「僕は、」
「有名な、毛利小五郎さんのお弟子さん」
「は、」
「それが、あなた。安室さん。」

そう、私はあなたのことをそれしか知らない。
たまに火薬の匂いをまとわせてることも、だれかの香水の匂いも、そんなものは知らないのだ。
だって、あなたはそれしか教えてくれなかったから。

「…そうですね」
「私は、そんな安室さんがすきですよ」

呟いた言葉はそのまま消えていく。
言葉はどこにものこらない。
記憶に残っても、かたちにはならない。
だったらあなたにこの思いを刻みつけてやろう。
勝手に私を置いていくなら、それくらい許してよ。

「すきです、あなたが私をすきじゃなくても、好きですから。」
「…っ。」

ああ、また安室さんの顔が歪む。
私のせいだとはわかっているけれど。

「…私たち、もう、」
「…言わないでくれ…」
「え?」
「本当にすまない…縛り付けたくなんて、なかったけど、だけど、」

彼の胸にぎゅうと引き寄せられる。
大好きな、彼の匂い。

「いつか、また、絶対に迎えにくるから、それまで、」

彼はそれだけ呟くと私を残して去っていく。
ドアがぎいと低い音を立ててしまるのがスローモーションのようにみえた。
隙間から見えた背中は、どこか寂しくて。

「待ってて、って言ってよ…」

彼にまた会えることは、あるのだろうか

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