ジャンル:仮面ライダーオーズ/OOO お題:記憶の霧 制限時間:1時間 読者:46 人 文字数:762字 お気に入り:0人

亡の女

嫌だった。胸を搔きむしらずにはいられなかった。想像するだけで、なにか、油虫が肌をだんだんと食い破っていくようなおぞましさをさえ思った。彼は私にとって救いであって、崇拝する対象だった。しかし、私の思いは宗教的ではあれども、どこまでいっても個人のものなのだ。他の人間と一緒の、信徒になったつもりはない。教会で大勢とともに彼に向かって祈りを捧げるなんてまっぴらごめんで、ましてや、神さまと呼んでまわりに群がり、彼から与えられる平等な施しを受け取る時を待つなんて、無為としか言いようがない。彼の思いは機械的で、平等であるゆえに無味無臭で、薬にしかならず、傲慢さを煮詰めたような酸い味がする。その味は分け与える人間の数に比例して薄まり、ぼんやりした麻薬のように、真綿で締め上げるよりなお遅く、脳の働きを麻痺させる。
彼と一対一で向き合えないなら、私は彼と真の意味で会うことはできない。彼はいつでも、存在も定かでない群衆のために命を削る。彼の体に刻み込んであるそのからくりは、彼をただの物体にする。群衆は彼の自我を奪う唾棄すべき鎖で、だからこそ彼とは2人で会わなければならないのだ。彼は優しくもなく、傲慢で、こちらの気持ちなんて一つも汲み取れはしない。それでいいのだ。汲み取らなくていいし、もっとえばっていて一向に構わないのだ。口が引きしぼられるほど酸い、えぐい味はだからこそ強く、鬱々とした泥沼から私を叩き起こす。
2人で会って、どうするかといえば、別にどうということもしない。ただ握手をしてもらって、それで、彼の顔を見つめたままいたいだけだ。彼の手を握って、そうすれば彼と私は家族であって、お互いに助け合える対等な立場である。少なくとも彼の周りにひしめく奴らとは一線を画せる。そうなれれば、それほど嬉しく、誇らしいこともないだろう。

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