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【服飾パロ】どちらかがしぬ

 立ち竦むかと思われた「人間」の姿を見やって、エルキドゥは首を回しながら微笑んだ。
 エルキドゥの纏っていたファーつきのコートはコンクリートに投げ出され、その細いデコルテが露わになる。おとこにしては細く、おんなにしては太い。完璧な人形と見紛う現代のモデル。ギルガメッシュお抱えの、ひとり。
 ギルガメッシュが側に置いているモデルは二人。エルキドゥと、アルジュナ。その後者を、ロビンフッドは捜している。

 マリーとナイチンゲールが強張った表情でロビンフッドの元へ駈け込んできたのはつい数時間前のこと。
 聞けば、カルナのショーの最終チェックをしていたところ、煙のようにどこかへと消えてしまったのだと。そこに魔力の流れを感じ、サーヴァント時代の記憶を持つロビンフッドならば何かを感知しているかもしれない、と思ったのだそうだ。

『こんなことはじめてだわ。だって、ちゃんと魔力の流れをかんじたの』

 震える声で告げたマリーの瞳は、それでも気丈に輝いていた。
 マリーとナイチンゲールに別れを告げ、ロビンフッドはとあるビルの前までバイクを走らせてきた。一面ガラス張りになっている、歩道に面したショーウィンドウ。そこにあるマネキンたちは、どれも金色の肌をしていた。

 ウルクコーポレーション、という名前のオフィスビル。
 そこにロビンフッドが辿り着いた時、まるで深夜とも思えないほど、整った顔色の人物が現れた。それが、エルキドゥだった。

「こんばんは」
「…」
「ギルから言われてるんだ。君はこの箱庭の鍵じゃない。お帰り願え、とね」

 パキ、ペキ、とエルキドゥの右足が変質していく。
 細身のスパッツから覗く白い足首が、真珠と思しき鈍い輝きを帯びていく。

「アルジュナを、どうした」
「どうもしないさ!」

 左足で踏み込む一歩。
 数メートルはあった距離を一瞬で詰め、ロビンフッドの眼前にエルキドゥのハイキックが迫った。咄嗟に腕で顔をガードしたものの、蹴り倒された身体が宙へと放り出される。街灯へ強かに背を打ち、コンクリートの上に打ち伏せる。脳震盪を起こす人間の身体を無理矢理動かし、ロビフッドは横へと飛びのく。追撃になったエルキドゥの一撃が、街灯をへし折った。

「返せ」

 コンクリートに膝をつき、ガラスのショーウインドウに爪をたて、ロビンフッドはぐらつく視界と共に立ち上がる。
 脳裏に過ぎるのは、いつかの雨の日。
 寂しそうな、ひとりきりのアルジュナの背中だった。

「――ただの人間だった、アルジュナを返せよ!」
「そんなものは元から居ない!」

 今こそ、この足の震えこそが武者震いだと自分に言い聞かせながら立ち上がる他ない。
 選択肢は元より捨てた。双眸には微かな迷いと厳しい決意。過酷とも言える運命を、ロビンフッドは受け入れた。エルキドゥを殺して、生き残る。それがこの世界の意味を探す道へ繋がる。
 そう知ってしまった。理解してしまった。それこそが、ロビンフッドのサーヴァントたる所以だった。

「いいね、ロビンフッド」

 エルキドゥの肩口から、雷光にも似た光が発せられる。

「初めて君に興味が湧きそうな気がする。だって君、とてもいい目をしてる。いまから人を殺す奴の瞳だ」

 流麗な瞳が弧を描く。夜道の殺意は朝靄の孤独を切り捨てることだろう。

「生憎あんまり死なない身体なんだ――死ぬまで殺してくれよ!」

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