ジャンル:カルジュナ お題:少女の家 制限時間:15分 読者:208 人 文字数:1329字 お気に入り:0人

【カルジュナ】小説家x婚約者の小話

困ったことになった。
カルナはポーカーフェイスを司る一方で、背中に滝のような冷や汗をかきながら正座をしていた。

「カルナ、この本はなんですか?」

アルジュナがカルナに突き出したのは、俗にいう薄い本。
先日開催された夏の祭典に、無理矢理休みを作って繰り出し、知り合いの刑部姫のところで売り子というものをしてきたのだ。その代価としてサークルチケットで入場し、自分の求める本を買いあさってきた。
ちなみにカルナはそのままの状態であると逆に悪目立ちしてしまうため、「謝罪探偵のドラマ版から派生した新書版に出てくる人類学者のコスプレです」と言い、その中の書生姿でコスプレ登録までして挑んだ。そしてすべてのカメコに首を振り、コスプレ広場を通り過ぎそうになりそうなルートはことごとく外した。
これで担当編集者の玉藻に気付かれてはいまい、とたかをくくっていたのだが、まぁあっさりと市場調査にきていた玉藻に見つかって白い眼をされた。それでも「黙っておいてあげましょう…何か自費出版されているわけでもありませんものね」と溜め息一つでお目こぼしを頂いたのだった。

さて、それはそれとして。
つまり、カルナは夏の祭典で、自分の書く「謝罪探偵すまないさん」シリーズの二次創作本を買いまくってきたのだ。その中でも、褐色ショタと名高い、劇中のアルジュナと、カルナ自身をモデルにした人類学者のカップリング…いわゆる、学ジュナに絞って買ってきた。
もちろん、プロとしてのカルナから見たものとしては、全てがアマチュアである、しかしそこに技術などはなから求めていない。これを書かなければと突き動かされた人間の熱意のなんと素晴らしいことか。
小銭で肩に食い込んでいたポーチも軽くなり、両手いっぱいにかかえた同人誌と帰宅したのがつい先週。
そして今週、アルジュナが部屋の掃除に入るまで、それらは寝る前の楽しみとして紙袋に入れられ、ベッドサイドに置かれていた。ここでカルナにはひとつの誤算があった。

ひとつ、先週から今日まで、天気が悪く、雨ばかりであった。
ふたつ、アルジュナは夏休みであり、いつでもカルナの家にくることができる。
みっつ、カルナの家の掃除はアルジュナの仕事だった。

ここから導き出された答えが冒頭。ひとかかえほどもある学ジュナ同人誌を見つかったのである。
中身まで見られていなければセーフかもしれない、と淡い期待を抱くが、アルジュナはぱらぱらとそれを捲る。そしてためらいなくバッと大きく開いてカルナにつきつけた。まごうことなく十八禁の、くんずほぐれつシーンである。

「わたしとカルナのキャラクターはなにをしてるんですか!?」
「ァアアアアアア!!!」
「『おんなのこになっちゃいますぅ』って、このキャラクターは男の子じゃないんですか?」
「アルジュナ!!閉じろ!!!!閉じるんだ!!!!」
「『せんせぇの、おっきい♡』」
「音読を、いますぐ、やめろ!!!!」
「むぐ」

アルジュナの口を手のひらで覆い、カルナは同人誌を叩き落とす。
その下から覗いてくるジト目に、どうやって弁明しようかなどと、もうすっかり回らなくなった頭でカルナは考えるはめになったのだった。





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