ジャンル:ゴールデンカムイ お題:来年の道 必須要素:パン 制限時間:1時間 読者:45 人 文字数:1551字 お気に入り:0人

パンを捏ねたら世界が変わった ※未完



「杉元のパンって美味いよなぁ」

 並べられた朝食に乗っていたシンプルなロールパンを一つ齧って見て、しみじみとそんな感想が出た。俺の同居人は料理が上手い。いや上手いというか上手くなった。が正解かも知れない。最初は味噌汁すら作れない不器用っぷりだったのだが、いつの間にやら和食に中華に洋食何でも器用に作れるようになっていた。とくに小麦系の料理が美味いのだ。うどんにパスタに…それにパン。筋肉質でガタイの良い男である。生地を捏ねる料理と相性が良いのかもしれない。

 そもそもこの同居人、こと杉元佐一と住む事になったのは、マンション契約の不備が原因だった。我が家は北海道某所にあるマンションである。新築とは言い難く、オンボロとも言い難く、コンクリート壁で出来た内面はフローリング床の洋風で、多少狭苦しいがまぁ二人ぐらいなら入れるんじゃないかという広さ。
 そこに、当時大学二年生だった俺は一人暮らしを始める事となり入所予定だったマンションの前にボストンバッグ一つを持って扉の前に立っていた。ところがそこに、スポーツ用品店の有名なロゴ入りの帽子を目深に被った学ランを来た学生、当時は俺より頭一つ背が小さかった中学卒業前の杉元が、俺と同じくボストンバック片手に立っていたのである。

 普通に考えて、お隣さん家の子かな?と思った俺は、挨拶をしておこうと、軽く会釈をする。

「えっと、はじめまして、だよな?隣の家の子か?」
「は!?」

 ところが、俺の言葉を聞いて、少年は思わずといった勢いで顔を上げた。目深に帽子を被っていた為良く見えなかったが、目の前の少年の顔にはそれは大きな目立つ傷跡があり、俺は思わずそちらに面食らってしまう。

「あっ」

 そうして自身の顔を見て驚かれたと気付いた少年は、再び帽子を被り直して。

「あの、すいません」

 と申し訳なさそうに謝ってきたのだった。いや、何でお前が謝るんだよ。とか初対面の相手の触れてはいけないところと突いてしまった気がして申し訳なく。俺は慌てて話題をそらして少年にこう問いかけた。

「えっと、じゃぁ別の階の子?」

 ちなみにこのマンションは四階建ての一つの階ごとに5部屋並んでいる部屋であるため、数えて20部屋ある。しかし少年は困惑した表情のまま。

「ち、違います、俺も今日からここに入所する事になって」
「え、」

 そうかお前もか、俺も何だよ、変な偶然もあるもんだなぁと言いかけて、少年は思いっきり俺が入所する予定の部屋の扉を指さした。

「この部屋に!!」
「……はぁ!?」

 そうして俺たちはお互いの話を擦り合わせた結果、同じマンションの同じ部屋に入所させられているのだと気付いて、急いで大家に問い合わせをした。そうして大家の書類ミスのために起った事だと知ったのだった。ところが件の大家は夫婦で経営しているのだが今年の三月半ばから世界一周旅行へ旅立っており、その変わりとして、一時的に夫婦の弟がマンションを預かっていたのだった。

「書類関連は、兄夫婦の預かりとなっている為、大変申し訳ないのだが、こちらからしてやれる事は難しい」
「「はぁぁぁ!!?」」

そう言って返された言葉に唖然とする俺たちに、大柄で顎髭を蓄えた夫婦の弟は申し訳なさそうに両手をバシンッと合わせて頭を下げた。

「代替えのマンションは勿論こちらで責任を持って探させて貰うが、今の時期のホテルは冬休みの観光客で埋まっていて取る事が難しいと思う。大変申し訳ないのだが、二人は同姓同士のようだし、一週間程度で良い、同じ部屋で過ごして貰ってくれないだろうか…!!」
「「えぇぇぇぇ!!!!」」

 こうして、俺と杉元少年の奇妙な一週間の同居生活が始まった。


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作者:苗木 ジャンル:ゴールデンカムイ お題:来年の道 必須要素:パン 制限時間:1時間 読者:45 人 文字数:1551字 お気に入り:0人
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