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願い

 武器なのだから――同田貫正国の口癖である。
 刀剣男士は刀から生じた付喪神なのだから、誰しもがその思いを持ってはいるだろう。それをあえて口に出す者は多くはない。同田貫はもっともストレートに言葉にする。あまりにも素直な表現は、飾らない彼らしく、一本気さと不器用さと頑なさを表しているのだろう。
「戦えねぇんじゃ、意味ねぇだろうが」
 重傷を負って帰ってきた時、荒々しく言い放ったのは記憶に新しい。
 ボス戦手前での撤退。
 それも自分が深手を負っていたせいとあれば、苛立つのもわからないではない。彼は戦場で折れるのなら本望と常から言っているのだから。
 無論、私は反発した。
「無駄死にさせる気はない」
 もう少し言い方はあったと思う。でも、同田貫が苛ついている以上に、私は苛ついていたのだ。
 自分の刀剣を、一振りも折りたくはない。
 そのために、日々情報を集め、軍議を重ね、作戦を練っているのだ。
「無駄なんかじゃねぇ」
 案の定、彼は吐き捨てて、手入れ部屋に籠った。
 戸襖が乱暴に閉められ、冷えた音が響いた。
 彼には彼の無念がある。
 けれど私は無念を抱きたくない。
 彼は「武器」だが、私には彼は「刀剣男士」なのだ。この差は、未だ埋められていない。
 どうすればいいのだろう。
 どうすれば彼が刀として味わった不遇が晴れるのだろう――そう考えて乾いた笑いが漏れた。
 そんなものは無理なのだ。数百年という時の中で、持ち続けてきた闇を、昨日今日で簡単に取り払えると思う方が浅ましい。私の思いは彼には届かない。届かなくても、私は彼の思いに寄り添うつもりもない。
 永遠に平行線で、永久にわかりあえず、私はきっと彼に恨まれるのだろう。
 武器の何たるかもわからない、と憎まれるのだろう。
 そう思えば崩れ落ちそうになるが、けれど、それでも――――――それでも私は彼に生きて傍にいて欲しいのだ。

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