【カルジュナ?】N.Yへ行きたいか!
「ニューーーーヨーーークヘ、行きたいか~~~~!」
「「「ウォォオオオオ!!!」」」
赤白青の三色帽子をかぶり、ギターをマイクに見立てて叫んでいるのは信長。その隣で紙吹雪を撒く城ワンピースの王妃と、残暑にウォータースプラッシュの騎士王。脇を固める水着要員を両手で制止しつつ、信長は椅子の上に乗りながら振り上げたこぶしで信長コールを誘導している。
一言で言って、狂乱。それに尽きる。
「…何をなさっているのですか?あれは」
そして今しがた食堂にやってきたアルジュナは、その異様な雰囲気を指差して隣のキャスターであるギルガメッシュに問いかけた。その衣装は、深いインディゴブルーのシャツにスラックスにゴールドの石板。ルルハワでの衣装がよほど気に入ったのだろうか、とアルジュナは思う。何故なら、そのような質問をしても一蹴しなかったばかりか、アルジュナの方を見て口を開いたのだ。これが常日頃のギルガメッシュならば「世俗に疎い疎いと思っていたが、貴様も耄碌した爺もかくや。もしや聖杯知識に頼ってアップデートを行わぬサーヴァントがこれほど失笑に耐えぬものであるとは」などと返してくるだろうことは、アルジュナにはすぐに想像できた。
「この間まで夏休みルルハワ気分だったろう」
「はい」
そこで信長が再び拳を振り上げる。
「見たくない現実に戻るくらいなら!作っちゃいなYO、延長戦!エンジョイビートで、カモンベイビー!」
天を指差し、高らかに叫ぶ信長。アルジュナが見渡す限りで、お祭り騒ぎが好きなクー・フーリンたちやローマやエジプト出身のサーヴァントたち。それに生粋のお祭り好きの日本サーヴァントと、当のアメリカ合衆国が取り上げられて嬉しいサーヴァント。そこに古来からのサーヴァントたちまで加わり、まさにるつぼ。
「ついでに出資者は我だ」
「なにか弱味でも握られているんですか?」
咄嗟につっこみを入れてしまったが、ギルガメッシュは気にしていないようだった。それよりも、信長が取り出してきた箱に向けて顎を上げる。アルジュナが箱を注視すると、それも赤白青の三色で作られており、「あたり入り!」とデカデカと書かれている。
「あのクジに夏休み延長の許可が入っている。あれに当たったサーヴァントが、もう一人を選んでマスターについていく、というルールだ」
「もう一人?」
「当たった者のみにするより面白い地獄絵図が見れる」
でしょうね、とアルジュナは頷きかけた。
つまりはマスターの護衛として二名のサーヴァントが選ばれる、ということなのだろうが。聞けば、マシュは既にメンバーに入っているようで、スリーマンセルで護衛にあたる前提なのだろう。ニューヨークというものを、聖杯のみの知識でしか知らないアルジュナは、何故ニューヨーク行きをそんなにも皆が求めているのかは分からないが。乗れるものには何でも乗っておけ、ということなのだろうか。
「ほれ、見ろ」
次々とサーヴァントが箱に手を入れ、はずれと書かれたくじを引いている。本当にあたりが入っているのかと不満の声が上がり始めるのにも、そう時間はかからない。
「貴様は引かんのか」
「……そうですね、必要ないでしょう」
「ふむ」
ギルガメッシュに答えたと同時、アルジュナの視線の先に見知った姿が見える。カルナが(これはアルジュナから見た様子であるが)意気揚々と箱に手を入れる。
カルナの幸運ランクを知っている皆は、どうせあたらんだろうと高をくくっていたようだった。
アルジュナが、じ、とその手を見る。焼けた皮膚。黄金の鎧。
抜かれたカルナの手には、「あたり」と書かれたくじが、しっかりと握られている。
瞬間、爆発的な騒ぎに包まれた食堂で、アルジュナは隣のギルガメッシュを見た。
「必要なかったでしょう」
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