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【服飾パロ】記憶逆転カルジュナ

さて防犯ブザーで呼ばれるのは、何もむくけき男だけではない。カルナはアルジュナの元にはせ参じた三人を見やってチベットスナギツネの形相となった。

「うちの子に何か御用ですかムシュー!」

銀の髪を揺らしながらアルジュナの前で腕を広げるマリー。

「良い病院を紹介しましょう」

何故か白手袋を装着しながら現れたナイチンゲール。

「鉄拳制裁のお時間です!」

女優帽をセンスよくかぶりながら拳を構えるマルタ。

「でたなSEC●M三姉妹…」
「?」
「いや、この世界には無い概念だったかもしれない、忘れてくれ」

カルナは首を振り、三人の登場に何故か目を丸くしているアルジュナを見た。いくら三人の女性が間に入っているとはいえ、アルジュナの身長は高く、頭一つ飛びぬけてしまうのだ。

「女に守られるとは情けない」
「なっ!わ、私とて好きでこうなったわけではない!」

アルジュナが目を吊り上げてがなる。そこにサーヴァント時代の語調を見つけ、カルナは心の中で感嘆した。なにせこの世界で出会って、アルジュナに記憶が無いことをふまえると、常に敬語でいることが当たり前になりそうだったのだ。
カルナはアルジュナの、自分にだけ向けられる殺気を好ましく思っていた。清廉潔白の、染み一つないはずの道で、踏み越えなければならないものがカルナだった。カルナはアルジュナの染みになりたかった。それは靴裏ではなく、足先ではなく、衣装の胸元を彩る鮮烈な赤色でありたかった。血のように鮮やかに、夕日のように熱烈に、アルジュナにとっての唯一になりたかった。そして、サーヴァントである時、カルナはまさしくそれであった。アルジュナが必ず仕留めると運命を決めた相手になれる歓喜を、カルナは常に噛みしめていた。アルジュナが自身を目に入れる喜び、背徳感、優越感、何よりも勝る激情を、カルナは今でも思い出せる。いいや、忘れたことすらない。カルナにとって、サーヴァント時代の記憶は、つい昨日のものと同じように思えていた。

「有象無象の隔たりをもってしても、オレとお前の縁は切れない」
「……」

ナイチンゲールが眉を寄せる。本気で精神状態を心配されているらしかった。

「そしてお前は、オレが思うよりずっと阿呆な男だ」
「は、ぁぁあ!?」

アルジュナが素っ頓狂な声を上げる。おそらく、そう評価されたことは殆ど無いだろう。いや、むしろ皆無かもしれない。突然湧いて出たストーカーにそんなことを言われれば、カルナとて殴り飛ばすだろう。
しかしカルナは敢えて続ける。今がプラスでないのなら、もうこれ以上のマイナス評価に下がることはなかろう、という考えもあった。

「いいか、アルジュナ。デザイナーのお前が大成したいのならば、オレというモデルを利用する他ないはずだ」
「大層な自信で…」
「オレの経歴を見たな?見ただろう?そのモデルからの誘いを断ったデザイナーとして、お前は今後ひたすら評価に傷をつけられる」

カルナは必死に思考を回す。それよりも、常日頃から長い文章をしゃべらないことで退化したらしい舌を動かすのに必死でもあった。

「正当に評価されたいだろう。お前に期待をする者たちを裏切りたくないだろう」

カルナの言葉は、アルジュナの感情に触れたようだった。サーヴァントであった時にも、アルジュナが心を砕いていたこと。それは、自身を、加えて、「自分を取り巻くすべての環境」を肯定されること。そうでなければ、愛されている意味がない。
そしてアルジュナが、今もアルジュナであるならば、自分を取り巻く全てを無碍にはできない。全て抱えて、歩いていく他、無い男なのだ。

「オレをお前のモデルにしろ。お前を愛するものたちのために」

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