ジャンル:魔法少女育成計画 お題:隠された神様 必須要素:山田 制限時間:1時間 読者:34 人 文字数:3444字 お気に入り:0人

神のみぞ知る

 人気のない山奥。
 古来より人間は多くのものを祀っていた。それは人間だけではなく動物、現象も例外ではなかった。災害を恐れた人間たちが、その災害を神として祀り上げ、祈ることで鎮めようとしていた。
 その名残としてこの神社はあった。
 もう、誰も来なくなって数年は経っていて、草は伸び放題で、木すら生えているところあった。
 その植物たちが一瞬にして刈り取られる。
 
「はあ……は!」
「そうちゃん。すごい」
「だから、この姿の時はラピュセルと呼べよ」

 刈り取られた草の向こうには。二人の人影あった。
 一人はまるで純潔でだれも踏み込まれていない新雪を思わせる可憐な白い少女。
 一人はアクセサリーなのか竜を思わせる角を頭部につけて露出度が高いものの高潔な雰囲気がある凛々しい女性。
 女性の手には異常に長い西洋の剣があった。
 その剣によって、草木がまたたく間に切られて行く。
 白い少女はその切った後の山のような草木の片付けをしていた。
 異常に長い剣を人間の女性が振り回すことができるか?
 山のような草木を人間の少女が抱えて片付けることができるか
 人間ならそう簡単にできないはずである。
 だがどうだ、神社の二人のそれができている。
 それは二人がただの人間ではないからだ。
 魔法少女というものが街で噂されている。
 『家事で死にかけていたところを助けてくれた』
 『空を箒でとんでもない速度で飛んでいた』
 『ナンパされて困っていたところを助けてくれた』
 『正義の美少女』
 『双子の天使がうざい』
 『なんかいちゃついてる』
 『ヤクザと戦っていた』
 等とネットで色々な書き込みがあり、まるで超人や未確認生命体のように書き込まれている。
 神社の二人もまた噂の魔法少女である。ラピュセルとスノーホワイト、最近噂の魔法少女の中でも注目株の二人組である。
 人間を遥かに超える身体能力を誇りラピュセルより運動能力が低めスノーホワイトですらそこらの自動車よりも早く走れる。
 また、腕力もまた狂人で一撃で猛獣も屠りかねない怪力を誇る。
 そして、特殊能力を持ちスノーホワイトは「困っている人の心の声が聞ける」、ラピュセルは魔法の剣を使うことができる。
 普通の人間には太刀打ちができない強力なこの能力を用いいて犯罪をするものがいないわけではないが。
 この二人は清く正しい魔法少女を目指していて、善行を行うことをもっとうにしている。
 この神社の掃除も地元のおじいさんの心の声を聞いたことがきっかけであった。 
 懐かしい思い出があったらしいがもう管理するものもいなく、おじいさん本人も体が年老いてしまってどうすることもできない。
 だから、スノーホワイトとラピュセルは片付けようと言うことになったのだ。

「あらかた片付いたかな?」
「ラピュセル、社の中も片付けよう」

 二人は社の中に踏み入れる。
 中は動物かホームレス、泥棒によってかはもはや知ることはできないが荒れ放題となっていた。
 大工でもない彼女たちに破損部分はどうすることはできないがせめて片付けることができることはしようということにしている。
 片付け作業中のスノーホワイトの手が止まる。

「ん?」
「どうした? スノーホワイト」
「これ?」

 スノーホワイトが壁を指差す。
 普通の人間には暗くて見えないが、魔法少女の視力ならその壁にあるものを確認することができた。
 時間が経ち劣化して薄くなっているが落書きであった。
 大昔はここは子供の遊び場であったのだろう。
 おそらく、ここを片付けてほしいと思っていたおじいさんもその一人だったのかもしれない。
 罰当たりの気もするがここで子どもたちがなにかやっていた名残であろう。
 その落書きには悪口であったり、適当な文章であったり、大昔のヒーローであったり、「山田と佐藤」と書かれた相合傘だったり、子供らしいものであった。

「あれ?」
 『宝はの在り処は→』と書かれている落書きがあった。

「ラピュセル追ってみよう」
「ちょっと気になるしな」

 その方に向かうとまた『宝は↑』と書かれていてその次もまた似たようなことが書かれていて。
 そして『魔女姫サナリーの歌の二番』と書かれていた。

「歌詞、ラピュセル知ってる?」
「もちろん! そんなもん常識さ!」

 ラピュセルは自慢げに答えた。
 サナリーは何十年前の魔法少女アニメである。『最初の魔法少女は?』と言われると多くの人が答えるレベルで知名度はあるが。しかし、流石に何世代も前のもので名前程度しか知らず、主題歌を歌えるものとなるとかなり少なくなる。
 その主題歌を苦もなく理解するラピュセル。
 もともと、この二人は魔法少女マニアであり、実際に魔法少女になった時は大喜びではしゃいだりもしていた。 

「たしか、床下の猫を……」
「じゃあ、宝は社の下かな?」

 一旦外に出て、ボロボロの神社の下にラピュセルは潜り込んだ。
 スノーホワイトの方が小柄だが、「こういうのはスノーホワイトにやらせたくない」ということでラピュセルが引き受けた。
 五分ぐらい潜ったあとに、錆びきったお菓子が入っていたであろう箱を抱えてラピュセルが出てきた。

「これが宝? ちょっとばっちぃな」
「なんだろうこれ?」

 箱を揺すってみると何かしらのかさかさと音がして中身があるらしいのはわかる。
 せっかくだから二人は開けてみると……長い年月で劣化したビニールらしきもので何十も覆われた箱があった。
 外の箱と比べると保存状態がよくらしくてサビは少い。

「こ、これは!」
「汚れているけど昔のカード?」

 スノーホワイトはカードに書かれている文章で先程のサナリー関連のものであることはわかるがそこまでである。
 だが、隣のラピュセルはとてつもなく興奮している様子なのは見て取れた。

「神様ありがとう! というかこれが神様! ばっちいって言ってごめんなさい!!」
「そ、そうちゃん?」
「小雪、これはすごいだぞ!!」

 あまりのことに本名で二人は呼び合う。
 片や興奮、片やどんびきと両極端な反応であるが驚愕の自体であったことには変わりはなかった。

「いいか、これはとてつもなくレア物でプレミアムがついているんだ」
「へ、へぇ~」
「保存状態も悪くない!」

 熱心に語るラピュセルに苦笑いのスノーホワイト。
 人気がない山の神社だから助かった者の、少しでも人気があるところであったら誰かが来ていたのかもしれないぐらいラピュセルは叫んでいた、

「でも……」

 『勝手に持ち出したら泥棒』という心の声をスノーホワイトは聞き取った。

 「そうだね」スノーホワイトはラピュセルの手ごとサナリーのカードを軽く握る「元に戻そうよ」
 「うん」ラピュセルはスノーホワイトと一緒にカードを元の箱にしまう「神様にはゆっくりしてもらおう」

 少し名残惜しいものの、ここで盗んでしまったら魔法少女の前に人間として失格である。
 ボロボロの箱を抱えてラピュセルはまた社の床下に潜った。



「さて、これで片付けももういいかな?」
「せっかくだから、お願いごとでもしていこう」

 二人はボロボロの賽銭箱にお金を入れて手を合わせる。
 「立派な魔法少女になれますように」
 二人はそう願う。

 街には十数人の魔法少女がいる。
 スタンスは十人十色である。
 ラピュセルとスノーホワイトはできれば清く正しい魔法少女でありたいと願う。
 長年憧れていた、馬鹿にされても好きであり続けていた。
 いつかは終りがあるのかもしれない。
 でも、もう少しだけこうしていたい。

 だが、その終わりは血塗られたものにより訪れてしまった。
 それにより、ラピュセルは命を落としてしまう。
 スノーホワイトにとって「立派な魔法少女」ある意味一種の呪いとして縛り続ける。
 スノーホワイトを立派という人はいないわけではないが、知っているものの多くは「冷血」という印象を持たれてしまっている。
 もし、神がいるならばどう思っているのかは誰にもわからない。
 だが、ラピュセルが生きていたならばどう思うのかはスノーホワイトは……おそらくは予想はしている。彼女と同じ能力を持っているものがいたら、そのことをしれていたのかもしない。

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