一人の廃病院
彼花屋大我は過去は名医であった。
日本はおろか、世界でも治療できる者が一握りに限られている治療もこなすことができ、
彼を求めて遠くから患者が来るほどであった。
そんな彼がある日ゲーム病というバグスターウイルスによる病とそれにまつわる事件に関わってしまった。
その結果、患者と友人を助けることができず。
彼も医師免許を剥奪される事になった。
そこから何もかも一人で背負いがちになって彼は一匹狼のようになった。
現在花家 大我は一人で廃病院に住んでいる。
廃病院に住んでいるのは家賃が安いだけではなく、闇医者として活動していて何かと便利が良いからである。
……いや一人で住んでいたのは以前の話であった。
「ということでしばらく、関西の大会に行ってくる」
「勝手にしろ」
大我と話しているのは西馬 ニコ。
押しかけで彼の廃病院に住み着いた、女である。
プロゲーマーであり、多くの大会で優秀な成績を出し、賞金を年間で億単位で手に入れる凄腕である。
その彼女は近々開かれる大会に行くようでしばらく病院を開けるらしい。
キャリーバックを引いて玄関から出ていった。
「ふん! 久々に静かになったものだ」
以前は一人で住んでいた病院だが、一人いなくなっただけで幾分も広く感じる。
もともと、自分以外に患者が止まることもあったのだが、ニコがいなくなっただけで何倍も広く静かに感じる。
「久々に片付けをするか……ん?」
ガタンッ
大きく何かが動く音が隣の部屋で響いた。
「泥棒か?」と荒事に慣れている大我は隣の部屋に護身用の武器を持って駆けつける。
その部屋には窓をしまっており、特にあらされた様子はなく、バケツが転がっているだけであった。
軽く見回しても、人間がいる気配はない。
なぜ、バケツが転がったのかはわからないが、元の位置に戻して部屋を去る。
太陽が沈み始め、街を赤く、黄色く染め始める時間になる。
廃病院は薄暗いところが増えていく。
「まったく……なんだ!」
ニコが去ってから、物音がなぜか止まらない。
ポルターガイストなどの怪現象だとオカルトマニアならいいそうである。
しかし、大我はオカルトは嫌いである。
いや、怖いものが苦手でお化け屋敷も用があっても極力避けたいと思っている。
もともと夜の病院が苦手であるが、謎の現象が起きればそれは更に嫌になる。
「あいつがいれば……いや、いままでなかったはずだこんなこと」
彼がこの廃病院に住んでそれなりの年月が経っている。
今日まで怪現象のたぐいは起きたことはなかったはずだ。(夜の廃病院が不気味に思うことは何度もあったが)
断じて、あの騒がしいニコがいなくなって寂しくなって、弱っているというのが原因ではないはずだ。
しかし、このまま謎の現象で寝られなかったらどうしよう。
もし、謎の敵だったら……あいつらまで攻撃されたら……
そこまで考えてブンブンと頭を左右にふる。
一匹狼気取ってたくせになに悲観的なことを想像しているんだと気合を入れ直す
「……こうなったら!」
ゲーマドライバーを掴み、変身を敢行する。
騒がしい動作音と音声により、大我は超人的な能力をもつスナイプへと変身を行う。
すばやく事態に対処するためにレベル2にすぐさま変わりじっと佇む。
神経を研ぎ澄まして、ライダーになったことにより強化された五感を更に拡張する。
かすかな、何かが布に擦れる音がする
「そこか!」
スナイプが音がした部屋に猛ダッシュで飛び込む。
そこには子猫がカーテンに爪を立てていた。
「なんだ……!」
きゅっとスナイプは猫を掴み上げる。
その子猫には首輪がありどうやら飼い猫であるらしい。
そうでもなければ人馴れもしてないはずでこんな簡単に掴み取ることはできないはずである。
明日、飼い主でも探してやるかと空いているダンボールに寝床と適当な食料で餌をやって就寝した。
ちなみに監視カメラのデータで子猫で大騒ぎしたことがニコにバレて笑いのネタにされた。
ちょっと悲観的な弱さを見せてしまったらしい。
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