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吠えない駄犬




【ロデマイ】

犬は嫌いだよ。二の腕を緩くさすってそう言う。雪の吹き付ける外から伝わる冷気のせいか、彼の嫌いだという犬が目の前にいるからか。きゅううと鳩尾の奥が縮こまる感覚がする。くぅん。思わず鳴き声のようなものが出てきそうになって、慌てて首を振った。犬嫌いの彼は、それを怪訝そうに見つめている。

ロディ。俺のご主人様。番犬がこれと決めた飼い主。

番犬は毎夜、人狼から飼い主を護る。忠実に。主人が自らが飼い主であるということを知らずとも。その気になれば主人を嚙み殺すことも容易いが、生憎マイクはその選択肢をとるつもりはなかった。
多分、これ以上嫌われたくないのだと思う。それが死に際の一瞬だけだったとしても、嫌悪、恐怖、忌避。そういった眼差しを向けられたくはなかった。三日世話になれば、その恩を一生忘れない、とは東国の言葉だったろうか。犬は絆されやすいのだ。とても。

「犬が嫌い……って、噛まれたりしたのか?」

「そういう訳じゃないけど。煩いだろ、あいつら。吠えるし、襲いかかってくるし」

「襲いかかって来るのは相当じゃないか?何したんだよ」

「なんにもしてないよ。あっちが勝手に来るんだ」

嫌いなものの話をさせられているからか、ひどく不機嫌そうだ。頭のてっぺんからつま先まで、視線を滑らせる。今は神経質そうにしているだけの、ただの青年、といった印象しか受けない。完全な犬では無く、番犬という役割を付与されただけの身だから、分からないのだろうか。

「ふーん。災難だな。まぁ、こんな雪山じゃあ野良犬すらいないから、そこは良かったな」

「あのさぁ、人狼に殺されるか、こっちが先に殺すかって時に、良かったも何もないでしょ」

「それもそうか。悪い」

「はぁ……」

これ見よがしに、大きなため息を吐かれる。マイクとて、自分のものよりずっと鋭く大きい牙に引き裂かれ食われるのが怖くないわけではない。護れるのは主人だけで、自らは襲われてしまえばそれでおしまいだ。

「でも、なんとかなるだろ。お前のことは俺が護るし」

「なにそれ。狩人か何かなの、君」

「さあな」

ロディが人狼であったなら、きっとこの発言は自分にとって致命的な失言になるのだろう。なるようになるさ。主人にしようと決めた時から、死ぬまで忠実でいようと決意した時から、正体について考えるのはやめてしまった。

「俺はけっこう、犬好きだよ」

「びっくりするくらいマイペースだよね。君って。ここでその話掘り返す?」

俺はけっこう、今が好きだよ。ご主人様は犬が嫌いで、外は猛烈に寒くて、誰が人狼でいつ死ぬかわからないけど。けっこう、好きだよ。主人が生きてるなら、牙のない犬はそれだけで満足なのだ。
全てが終わった後でも、自分が死んだ後にでも、『いいこだったね』と言ってもらえれば。頭を撫でて欲しいというのはちょっと主人にはハードルが高いから。

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